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プロ野球

【2019総括・日本ハム】ショートスターターが誤算続きも、若手野手の成長は収穫

出野哲也

2019.12.07

▶2019年を「象徴」する試合
7月28日/西武8-7日本ハム/メットライフドーム
日|020 001 013 0|7
西|102 202 000 1X|8

 7月は絶好調で前日まで15勝4敗。10日時点で首位から7ゲーム差だったのを、0.5差まで詰めていた。28日、メットライフドームの西武戦もそうした勢いを感じさせる展開で、9回に近藤健介の3ランで同点とする。だが10回裏、1死一塁で秋山翔吾の遊ゴロを中島卓也が弾いてしまう。ボールはゆるゆる外野へ転がり、走者が一挙にサヨナラのホームを踏んだ。

 その後はそれまでの快進撃が嘘のように萎んでいき、優勝どころか5位で終了。2018年8月4日、同球場の同カードは石井一成の失策がきっかけで逆転負けし、以後ずるずる後退した。選手会長の中島は「あのミスで優勝できなかった」と石井を非難したが、ほぼ1年後に自分が同じ目に遭うとは。まさに因果応報だった。
 
●来季のキーマン
栗山英樹

「策士策に溺れる」とはこのことか。大谷翔平(現エンジェルス)の二刀流をはじめ、これまで多くの奇策とも思える采配を成功させてきた栗山監督。

 だが19年は、「ショートスターター」「淺間大基の三塁転向」「吉田輝星の先発起用」「清宮の四番抜擢」など打つ手がことごとく外れた。特にショートスターターの失敗は、堀瑞輝、玉井大翔、公文克彦らリリーフ投手たちの疲労が蓄積した上に新たな先発も育たず、二重に禍根を残した。

 辞任の噂も流れ、結局留任はしたものの、小笠原道大ヘッドだけでなく稲葉篤紀代表監督も後任候補と見なされている。信念に基づく初志貫徹と独りよがりは紙一重だと認識できないと、来季も同じ失敗を繰り返しかねない。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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