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プロ野球

先発転向で初勝利も「全然ダメ」。困惑と怒りの感情も露わにした西武の23歳右腕、平良海馬の野球観とは?

岩国誠

2023.04.12

 6回表、最後のバッター、4番・山口航輝に対して、156キロのストレートで見逃し三振。結果的に低めいっぱいに決まったが、平良が意図したコースではなく、最後まで納得の行かないマウンドとなった。

「(最後は)ラッキーな球だったと思います。今日は結果的に1安打で終わったということは良かったかなとは思いますが、アウトの取り方というものは、もうちょっと修正が必要かなと思います。フライとかではなく、三振とゴロを打たせるような投球をしていきたいと思います」

 
 去年は試合の終盤が出番だったが、今年はリリーフ投手たちの投球をベンチから見守る立場となった。そんな平良を中継映像のカメラが何度も捉えていたが、どんな心境で試合を見つめていたのか。

「自分の仕事はやったので『あとは見るだけ』という感じです。『リリーフが点を取られたら……』とかそういう考えはないです。『無』だと思います」

 自らの内面にある感情とも戦いながら、先発としての初勝利を挙げた平良。この1勝をどう捉えているのか。

「勝ちがつくことはいいことかもしれないですが、僕の中では、(自分の)勝ちにはあまりこだわっていない。今日は満足していないです。全然ダメでした」

 今日の結果を『全然ダメ』と言い切るが、自らに合格点を出せるとしたら、どんな投球なのだろうか。

「無失点で完投できたときですかね。そこに近づけられるように頑張っていきたいと思います。2試合連続でホームランを打たれていることは反省ですが、やはり新しい可能性も探したいですし、シーズンが終わった時に長いイニングを投げて失点が少なければ、中継ぎの時より、チームに貢献できているということになるので、やはり自分はそこを目指してやりたいですし、そのほうがチームを勝たせるピッチャーになると思うので、そうなりたいと思います」

 この日は困惑と怒りという感情を見せたが、自ら求める理想の投手像に近づいたとき、挑み続ける23歳の若き右腕がどんな感情を見せてくれるのか。その投球術と共に注目していきたい。

取材・文●岩国誠

【著者プロフィール】
岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
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