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プロ野球

“超大物”にも臆せずリード!バウアーが「素晴らしいキャッチャーだ」と激賞したハマのドラ1捕手・松尾汐恩の凄み

THE DIGEST編集部

2023.04.26

いまだ粗削りな感はあるが、着実にスキルアップを図っている松尾。この吸収能力の高さはバウアーをも驚かせた。写真:萩原孝弘

いまだ粗削りな感はあるが、着実にスキルアップを図っている松尾。この吸収能力の高さはバウアーをも驚かせた。写真:萩原孝弘

「一番はやっぱり考えをすごく持っていらっしゃるなと、自分は感じました」

 そうバウアーの思考力にもフォーカスする松尾は「自分が思っている以上に意図を持って、全ての球を投げているなという印象を受けました」と、直に体感したメジャー屈指の理論派投手の凄みを話した。

 全てが新鮮だった。サイン交換ひとつをとっても、「試合前から『首振ること多いと思うけど、それは配球に対してとはなくて自分の間であったりという部分を自分でやっていきたいから』と仰っていた」とバウアーは違いを見せつけた。すべてはバッターを効率よく打ち取るため。細部にまで気を配る姿勢は、超高校級捕手の大いなる刺激となった。

 だが、そんな超大物に対しても、18歳の若武者は自分を主張していった。

 試合前には「いろいろな配球パターンなどを確認させていただいたうえで、いろいろなこともやっていこうと言っていただいた。なので、今日はそこを意識しながら自分もやっていきました」と入念なプランニングを練った。

 そのうえで松尾は「思ったところは言ってくれと言われていたので、自分のほうから伝えるようにしました」と積極的にバウアーに考えをぶつけた。小気味よく抑えていた序盤に「右バッターに対して最初のほうはアウトコース中心になってしまっていた」と相手打者の傾向を察知。すかさず「相手も少しずつ相手も警戒をしてきているので、どうしてもどこかでインコースを攻めていかないと、と思った。少しずつ合わせられるところがあったんで、しっかりと攻めきるようにやっていきましょうと話しました」と提案した。
 
 これにバウアーも「次の回からそこを攻めていこう」と同意。見事に功を奏し、結果に結びつけた。当然、松尾にとっては大きな自信になる。試合後には「コースやいろいろなことを話しながら、構え方なども色々仰ってくれていた。自分もやりやすかったです」と笑顔を弾けさせた。

 もっとも、松尾も全てが順風満帆だったわけではない。現在ファームながら打率は.280、長打率.400と高卒1年目ながら非凡な才能は垣間見せている。ただ「ずっとピッチャーの球に慣れないというのがオープン戦とかはありました」と開幕が近づくにつれ、徐々に大きくなるプロの壁にぶつかっていた。

 だが、そのまま沈んでいかないのが、ドラフト1位のポテンシャルだ。開幕してわずか1か月で「まあ少しずつピッチャーの球にも慣れてきながら、自分のスイングで、自分の間で打てるようになってきているなと感じています」と手応えを強調。「まずはバッティング面と、守備の面でしっかりと強化する。いろいろな技術を学んで、ステップアップしながらアピールしていきたい」と力を込めた。

 ブランクがあるとはいえ、まだまだ世界の一線級の実力を兼ねる投手とバッテリーを組み、しっかりとした意見交換を交わしたうえで、結果も出した。この事実に松尾は「ひとつ自分の中でもいい経験をさせていただいて、プラスにしていきたい」と目を輝かせた。他でもないバウアーに驚いたこの日は、18歳にとって間違いなく貴重な一日になった。

取材・文●萩原孝弘

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