一方、1番を打つ愛斗は、今のポジションを取られる気はしていないと強気に話す。
「僕は蛭間が入ったことは全く気にしてないですね。危機感とかもないです。今の外野陣を見れば、守備と走塁では誰にも負けていないと思うんで、打ちさえすれば問題ない。それくらいに思っています。バッティングは去年から良い形で打てるようになってきたんで、僕は結果を残せば自分が出るしかないと思っている」
ここ2~3年、愛斗はレギュラーと準レギュラーを行き来した。守備ではライトゴロも記録するなど、強肩を生かした守備力には定評がある。盗塁をバンバンするタイプではないものの、積極的な走塁も持ち味だ。そして、昨季からバッティングに変化が現れた。
フリーバッティングを見ていても顕著だが、ただ振り回していただけのスタイルから左右に打ち分けられるようになってきたのだ。
愛斗も自身の手応えを話す。
「昨年の5、6月くらいから練習では自分に制限をかけて振るようにしたんです。気持ちよく打つのではなくゴロを打つとか、引っ張らないとか。色んな制限をかけて、その上で、試合ではそういう制限を取り払って思い切り振っていく。そうしていたら、自分の中でバッティングが良い感覚でつかめてきた」
27日現在の打率.299。リーグ4位の好成績を残している。思い切りのいいスイングで起爆剤となる。そんな選手に成長しつつある。
ゴールデンルーキーとも呼ばれる新人の存在はチームにとって大きい。
しかし、それは将来的なことを指すのであって、ルーキーがチームの中心に入るようでは、本来はチームの育成力が問われて当然だ。現状、今の外野陣は開幕から蛭間に席を与えるようなことはしなかった。それだけ、熾烈な争いを繰り広げ成長してきた証左とも言える。
昨季、西武の外野陣の力量が問われたのはクライマックスシリーズの成績が良くなかったからだ。
ソフトバンクとのCS第1戦は愛斗が2打数1安打だったものの、鈴木は3タコ。2戦目に鈴木がスタメンを外されると、今度は愛斗が4打数ノーヒット。この結果に、ファンから「外野手不足」が叫ばれた。
実際にはレギュラーをつかむまであと一歩のところに来ている選手はいたのだが……。
愛斗はこう意気込んでいる。
「これからの課題は、今季いろんな成績が出ると思いますけど、『今がいい感じだ』と思わないことが大事だと思っています。使わざるを得ないと思われる選手になることを目指したいですね。だから、何でもしますし、どんな打順でもいい。自分を出さざるを得ない状態にしていこうと思います」
外崎、源田がチームの顔になっていたように、愛斗、鈴木、若林らがチームの中心になることができれば、西武はリーグの頂点に間違いなく立っていることだろう。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
「僕は蛭間が入ったことは全く気にしてないですね。危機感とかもないです。今の外野陣を見れば、守備と走塁では誰にも負けていないと思うんで、打ちさえすれば問題ない。それくらいに思っています。バッティングは去年から良い形で打てるようになってきたんで、僕は結果を残せば自分が出るしかないと思っている」
ここ2~3年、愛斗はレギュラーと準レギュラーを行き来した。守備ではライトゴロも記録するなど、強肩を生かした守備力には定評がある。盗塁をバンバンするタイプではないものの、積極的な走塁も持ち味だ。そして、昨季からバッティングに変化が現れた。
フリーバッティングを見ていても顕著だが、ただ振り回していただけのスタイルから左右に打ち分けられるようになってきたのだ。
愛斗も自身の手応えを話す。
「昨年の5、6月くらいから練習では自分に制限をかけて振るようにしたんです。気持ちよく打つのではなくゴロを打つとか、引っ張らないとか。色んな制限をかけて、その上で、試合ではそういう制限を取り払って思い切り振っていく。そうしていたら、自分の中でバッティングが良い感覚でつかめてきた」
27日現在の打率.299。リーグ4位の好成績を残している。思い切りのいいスイングで起爆剤となる。そんな選手に成長しつつある。
ゴールデンルーキーとも呼ばれる新人の存在はチームにとって大きい。
しかし、それは将来的なことを指すのであって、ルーキーがチームの中心に入るようでは、本来はチームの育成力が問われて当然だ。現状、今の外野陣は開幕から蛭間に席を与えるようなことはしなかった。それだけ、熾烈な争いを繰り広げ成長してきた証左とも言える。
昨季、西武の外野陣の力量が問われたのはクライマックスシリーズの成績が良くなかったからだ。
ソフトバンクとのCS第1戦は愛斗が2打数1安打だったものの、鈴木は3タコ。2戦目に鈴木がスタメンを外されると、今度は愛斗が4打数ノーヒット。この結果に、ファンから「外野手不足」が叫ばれた。
実際にはレギュラーをつかむまであと一歩のところに来ている選手はいたのだが……。
愛斗はこう意気込んでいる。
「これからの課題は、今季いろんな成績が出ると思いますけど、『今がいい感じだ』と思わないことが大事だと思っています。使わざるを得ないと思われる選手になることを目指したいですね。だから、何でもしますし、どんな打順でもいい。自分を出さざるを得ない状態にしていこうと思います」
外崎、源田がチームの顔になっていたように、愛斗、鈴木、若林らがチームの中心になることができれば、西武はリーグの頂点に間違いなく立っていることだろう。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。