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MLB

「本能的に打つのも大事なんで」鈴木誠也の日本人選手初“3打席連続本塁打”をもたらした新打撃フォーム<SLUGGER>

ナガオ勝司

2023.05.23

 そんな右肩上がりの状態で迎えた15日、アストロズの先発はフランバー・バルデスだった。昨季、25試合連続クオリティ・スタートのMLB記録を樹立し、ワールドシリーズでも2勝して優勝に貢献した左腕投手だ。ホームプレートの真ん中辺りから大きく変化する時速150キロ台前半のシンカーとカーブが武器で、それをコーナーに決められると右バッターは相当攻略が厳しい。

 鈴木も、初対戦の第1打席はカーブが決まらなかったことでフルカウントまで粘ったものの、最後は第3の球種=カッターで空振り三振に仕留められた。

 ただし、第2打席はシンカーにもカーブにも食い下がり、カッターもファウルでしのいで最後はシンカーを打って前に飛ばした。結果は打球初速が時速163キロ超えの遊ゴロである。鈴木はその2打席12球の間に、カーディナルス戦のように誰の目にも明らかにタイミングを早く取ることもなく、メジャー屈指の左腕投手にアジャストしていた。

 何かが確実に変わっていた。

 救援投手と対戦した残る2打席に(結果的には)凡退した鈴木は翌16日、今度はクリスチャン・ハビアとこれまた初対戦となった。ハビアは球速こそ90マイル台前半と特別速くはないが、ホップ成分の高い速球(4シーム)が全投球の56%を占めることからも分かる通り、高めの速球を打者に意識させ、スライダーやカーブで打ち取ってくるピッチャーだった。昨季は公式戦とワールドシリーズの両方で継投ノーヒッターを達成した際の先発投手で、この日のカブス打線も6回で2安打しか打てなかった。

 2回の第1打席、鈴木はその高めの速球を2度に渡って空振りして三振し、傍目には「相手の思うツボ」に見えた。だが、試合後、鈴木は相手の得意な高めの速球を「狙っていた」と明かした。

「見よう見ようと思っても、ホップする球なので他のボールに手が出なくなると思った。そこら辺に目付して、そこに来たら全部振っていくってのはイメージしていた。今日はどっちかと言うと僕、高めを手を出していると思うんですけど、悪いスウィングじゃなかったのかなと思います」
 高めを振らせたい投手と、その高めを狙っていた打者の対戦は、センターフライに終わった。ただし、打球初速は95.7マイル(154キロ)もあり、統計的に見ても打球角度が実際の44度ではなく、20度から35度であれば、ホームランになっていたかもしれないような強い打球だった。

 何かが確実に変わりつつあったその時、ちょっとした追い風が吹く。

 7回の第3打席で、鈴木は前夜も対戦した救援のフィル・メイトンと再戦した。およそ24時間前は速いスライダーが2球続いた後のカーブを空振り三振したが、この打席では連投されたスライダーの2球目を捉えて、三遊間を真っ二つに割るレフト前ヒットを放った。打球初速は97.9マイル(157キロ超え)である。

「1回(打席に)立っていればまた話は変わってくるんですけど、初見の投手が多いんで、まぁ難しいですね。初めての投手がどんな球投げるのかは、映像では見ているんですけど、実際に立つとまた、変わってくる。(レフト前ヒットの時は)あの投手は昨日、立っていたんで、何となく変化のイメージもついてましたし、あの球を振りたいなと思っていたんで」

 迷いが少なくなった打撃にちょっとした追い風が吹くと、流れも変わる。

 9回、7対1と大差がついたことで、アストロズはセットアップやクローザーを温存し、左腕マット・ゲイジを登板させた。昨季、29歳でデビューしたゲイジは、独立リーグやメキシカン・リーグを含めれば、マイナー歴10年以上の「苦労人」で、昨季はブルージェイズで11試合に登板して防御率2点台を記録したものの、アストロズでは優先順位が低い救援投手だ。
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