専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

【DeNA】トレバー・バウアーは過大評価だったのか!? コメントから読み解く日本での成功のカギ

萩原孝弘

2023.05.30

デビュー戦では勝利を収めるも、16日にはカープ打線にことごとく打ち返された。写真:萩原孝弘

デビュー戦では勝利を収めるも、16日にはカープ打線にことごとく打ち返された。写真:萩原孝弘

 メジャーでは“フライボール革命”によるバレルスイングが主流になっており、ボールをすくわれる可能性の高い低めよりも、あえて高めに配球するのがトレンド。本人も「特にスタイルを変える事は考えていない」と話していたように、メジャー式のピッチングをしようと考えていたと想像される。

 しかし一軍で通用したのはデビュー戦のみで、9日のジャイアンツ戦では浮いた変化球を狙われ「球種選択のミス、ボールの精度、相手のゲームプランが勝った」と特にストレートが少なかったと反省。

 カープと2度目の対戦となった際は「感触で言ったら今年一番くらいで、コントロールも良かったと思う」と前回の内容を見直して投球しながらも炎上した。「バウンドするようなカーブをヒットにされてしまうとか、154キロ出ているインハイをホームランにされてしまうとか、ボールの質やコントロールの問題ではないのかなと思います。被打率自体が高く、フェアになるボールが全部ヒットになる不運。ボール球で勝負する、バウンドするような球で勝負する、いろんな球種、いろんなボールを投げていても今ヒットになっている状況。サインがわかっているとしても、7割は打たれない」とコメントもお手上げ状態。三浦大輔も「球が高い。それに尽きる」と突き放したような発言が耳に残った。
 
 だが27日の中日戦では6回を2失点。ソロホームラン2本に抑え、奪三振7と上々の結果を残した。クイックで相手の足も封じ、左打者には、内側に食い込むカットやナックルカーブでヒット1本に抑え込み、総じてストレートも低めに制球されるなど、課題も徐々に克服してきた感もある。球速は来日最速の159キロをマークし、1球1球のコマンドも上向いてきたが、この3連戦では初戦のロバート・ガゼルマンは7回を1失点、3戦目の大貫晋一はあと一死で完封と、バウアーよりも格段にいいピッチングを見せているだけに、特段優れた内容とは言い切れない。

 約2年間のブランク、WBCを制覇した高レベルのNPB。ネガティブな要因も相まって、戦前の予想ほどの活躍を見せられていないが「アメリカでは、このバッターは何が得意で何が苦手かというのをよく知っていたのですが、日本ではまだまだ知らない部分がある」との言葉から、メジャーでも相手の弱点を突く点にフォーカスしていたことが垣間見える。決して恵まれた体躯を持っていないが、野球を科学する“ベースボール・サイエンティスト”として成功を収めてきた知性派は、各データを集積、分析し、成功へのパズルを組み立てている最中ではなかろうか。

取材・文●萩原孝弘

【関連記事】道なき道を切り開いてサイ・ヤング賞投手へ――トレバー・バウアーが最先端理論「ピッチデザイン」を作るまで<SLUGGER>

【関連記事】「鬱になりそう」7失点大炎上のバウアーがYouTubeで心境を吐露! 広島打線に苦戦した大物助っ人は「暗闇の中にただ座っていたい」

【関連記事】ヤクルトが “泥沼10連敗”と低迷する理由。髙津監督の開幕前の不安が的中! 交流戦で「村神様」復活なるか?
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号