日本球界全体がパワー重視の流れになっている中、少し前までのドラゴンズは「どうせ長距離砲は育たないから」と言わんばかりに巧打者系の選手ばかりを指名し、結果として野手陣全体が小粒化してしまった。現在は多少は変わりつつあるが、一軍での選手起用や作戦を見る限り、まだその思考から抜けきれていないようにも見える。
昨日(6月15日)のロッテ戦が好例だ。1対1の同点で迎えた9回から3イニング続けて先頭打者が出塁したが、続く打者にはいずれもバントを指示。しかも、チームの中では攻撃力の高い方の福永裕基や岡林勇希にもバントさせるなど(岡林は成功させられずに結果三振)はっきり言って時代錯誤としか思えない作戦を取り、結局1点も奪えずに引き分けに終わった。 また、昨日もそうだったが、接戦の終盤に細川成也が出塁すると決まって代走を送る作戦も解せない。延長になって細川の打順に回ってきた時には打力で大きく劣る選手が打席に立ち、案の定打てずに終わるケースがあまりにも多い。他にも強打者が揃っているならともかく、現在、OPS(出塁率+長打率)リーグ4位のスラッガーの打席機会をむざむざ奪ってまで代走を送る作戦に正当性があるだろうか。こうした戦略の背景には、「バンテリンドームではどうせ本塁打が出ないから」という思考があるような気がしてならない。
「序盤に3点リードされたら、半ばあきらめムードになってしまう」は近年のドラゴンズファンあるあるだ。実際、1試合平均で3点取れてないので、体感としても間違っていない。
多少人為的ではあっても、せめてリーグ平均並みに本塁打を出やすくすることによって、チーム作りの根本思想を変える――そこに長期低迷脱却のヒントがあるような気がしてならない。テラス設置も含めたバンテリンドーム改修を“消極野球”からの脱却のきっかけとしたい。
文●久保田市郎(SLUGGER編集長)
著者プロフィール
くぼたいちろう。1976年生まれ。2002年から『SLUGGER』編集部に加入。現在は編集長を務める。日本の雑誌メディアで最も最初にOPSを紹介した一人(多分)。プロ野球では中日ドラゴンズを偏愛し、ナゴヤ球場で二軍戦、バンテリンドームで一軍戦をハシゴするのが年一度の楽しみ。
昨日(6月15日)のロッテ戦が好例だ。1対1の同点で迎えた9回から3イニング続けて先頭打者が出塁したが、続く打者にはいずれもバントを指示。しかも、チームの中では攻撃力の高い方の福永裕基や岡林勇希にもバントさせるなど(岡林は成功させられずに結果三振)はっきり言って時代錯誤としか思えない作戦を取り、結局1点も奪えずに引き分けに終わった。 また、昨日もそうだったが、接戦の終盤に細川成也が出塁すると決まって代走を送る作戦も解せない。延長になって細川の打順に回ってきた時には打力で大きく劣る選手が打席に立ち、案の定打てずに終わるケースがあまりにも多い。他にも強打者が揃っているならともかく、現在、OPS(出塁率+長打率)リーグ4位のスラッガーの打席機会をむざむざ奪ってまで代走を送る作戦に正当性があるだろうか。こうした戦略の背景には、「バンテリンドームではどうせ本塁打が出ないから」という思考があるような気がしてならない。
「序盤に3点リードされたら、半ばあきらめムードになってしまう」は近年のドラゴンズファンあるあるだ。実際、1試合平均で3点取れてないので、体感としても間違っていない。
多少人為的ではあっても、せめてリーグ平均並みに本塁打を出やすくすることによって、チーム作りの根本思想を変える――そこに長期低迷脱却のヒントがあるような気がしてならない。テラス設置も含めたバンテリンドーム改修を“消極野球”からの脱却のきっかけとしたい。
文●久保田市郎(SLUGGER編集長)
著者プロフィール
くぼたいちろう。1976年生まれ。2002年から『SLUGGER』編集部に加入。現在は編集長を務める。日本の雑誌メディアで最も最初にOPSを紹介した一人(多分)。プロ野球では中日ドラゴンズを偏愛し、ナゴヤ球場で二軍戦、バンテリンドームで一軍戦をハシゴするのが年一度の楽しみ。