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プロ野球

猛虎の頼れる”火消し”加治屋蓮が22試合連続無失点を樹立できた理由。鉄腕右腕を支える「投げるまでの準備」とは――

チャリコ遠藤

2023.06.18

 昨年オフから個人トレーナーを雇い、練習メニューをアップデートしてパフォーマンス向上に取り組んできた。11月で32歳を迎える右腕は、「年齢的にもどちらかといえばパフォーマンスが落ちてくる年齢だと思いますけど、それに抗うというか、そうじゃないよって思いながらケア、トレーニングもしています」と語る。

 自宅には最新鋭の電気治療機を購入し、球場内外でもケアに時間を割いている。考え方も変わった。昨年までは「火曜日にはウエイト」というように、曜日ごとにマストメニューを課していたが、その日の体の状態を見て臨機応変に対応する。「疲労感が残っているのにウエイトして疲労を溜めるようなことはしなくなりました。朝のコンディション、キャッチボールした後、試合後とか常に確かめながら」と体調ファーストのマインドが過酷な日々を支えている。

 そして、コンディショニングに欠かせないのが食事面。今年はナイター後に食べるメニューを微調整し、おかずの種類は維持しつつ、全体量を減らした。「消化する時間、睡眠までの時間を含めて体に負担をかけないような取り組みをしています。ナイター後は量を少なめにお願いしています」と言い、毎日の献立を考えてくれる妻の存在も大きく献身的なサポートにも感謝しながら腕を振る。
 
 では、投球面ではコンディショニングのような大きく手を入れた部分はあるのか。2020年にソフトバンクを戦力外となって、2021年からは戦いの場をセ・リーグに移したことで当初は「相手が苦手なところに投げる」ことに固執したというが、「それで自分の良さが消えてしまった」と反省する。

 7試合の登板に終わった阪神1年目はストロングポイントを見つめ直すきっかけになった。移籍2年目の昨年からは「自分の得意なコース」「軸は直球、フォーク」と長所を前面に出したスタイルに変更して登板数は39試合に増加。そこにコンディションの良化もプラスされ、「直球だけじゃなくフォーク、カットボール、変化球も含めて精度と球速は少しずつ昨年より上がっています」と手応えがある。

 コンビを組む捕手の坂本誠志郎の証言も、しっかりとリンクする。「自分のカウントで攻めてますよね。いい球を先にどんどんいって追い込んで、打者にフルスイングさせない。対戦回数も少なくて、あのフォークと真っ直ぐ、カットもあればバッターは1回で捉えにくい」と29歳の女房役も、加治屋の武器に太鼓判を押す。

 6月14日のオリックス戦で加治屋は今季初めて失点(自責点はゼロ)を喫して記録は22試合で止まった。「いつかは取られると思っていたので」と語る背番号54。そう、中継ぎ稼業に立ち止まっている時間はないのだ。ブルペンの電話はすぐに鳴る。加治屋蓮は今日もチームのために「火消し」に向かう。

取材・文●チャリコ遠藤

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