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プロ野球

重要なのは「追い込まれてからの打席アプローチ」――ドラフト1位ルーキー・蛭間の昇格でますます激化する西武の外野争いを勝ち抜くには<SLUGGER>

氏原英明

2023.06.22

 それは追い込まれてからの弱さだ。

 確かにどのバッターも追い込まれてからが圧倒的に不利で、0ー2や1-2では必然的に打率が下がる。ここを乗り切るためには、カウントを整えていくしかない。

 たとえばこの日、スタメンに入って2つの四球を選んだ栗山の第3打席はお手本のようなアプローチだった。

 1ー2と追い込まれた栗山はここから真骨頂の粘りを見せる。4球目のボール球を見逃し、5球目はファウル。6球目は内角の際どい球を投げ込まれたが、バットを止めた。これで3−2となり、最後の球が大きく外れて四球となったのだ。

「積極的に振りに行った中でどう粘っていくか。また、相手ピッチャーにどうやって球数を投げさせるかというのはチームとしては伝えていることですけど、そういう意味では栗山が粘ってつないでくれました。本当につながりという意味では大きい貢献だった」

 松井監督はそう語ったが、これこそが安定的に活躍する選手が持ちうるものだ。

 試合後の栗山に尋ねてみた。

 追い込まれてからのアプローチにはどんな意識があるのか。 

 少しの沈黙の後、栗山がこう説明した。
 
「2ストライクになったことによって、そこまで変えることはないです。配球の流れの中で決め球に何がくるのかは、何となくの感覚を持っているんですけど、ただ自然と(追い込まれていることを)意識した形になるというのはあると思います。やっぱり全球種に対応しなくちゃいけないので、タイミングは若干小さくなる。それがバッティングとしていいか悪いかは別として、追い込まれたらすべてがコンパクトになる気はします」

「ただ、これは打者の課題でもあると思うんです。どの打者でも、追い込まれてからどうやっていくかって課題なんです。自分で言うのもあれですけど、その辺ができないと、なかなかこの世界でやっていくのは難しいと思うし、それは僕の特徴でもある」

 一軍で活躍する選手とそれ以外の違いは栗山の言う「カウントが追い込まれてから結果を残せる選手」のことだろう。

 どの選手もいいポテンシャルを持っていて、自分が優位に立った打席では結果を残すことはできる。しかし、試合の中ではさまざまなシチュエーションがあり、必然的に不利な状況も生まれる。

 そんな時に、どう乗り越えていくか。

「逃げる」という表現がいいかどうかは分からないが、最初は圧倒的に不利でも、ボールを選びながらカウントを整えていくことで、チャンスを見出せるのだ。
 
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