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プロ野球

重要なのは「追い込まれてからの打席アプローチ」――ドラフト1位ルーキー・蛭間の昇格でますます激化する西武の外野争いを勝ち抜くには<SLUGGER>

氏原英明

2023.06.22

 交流戦最終節の広島との3戦目。西武は連敗を脱出した。3本の本塁打が飛び出して11得点をマークするなど、かつての西武らしい打線の爆発ぶりだったが、その中で光を見たのは追い込まれてからの打撃だった。

 3点ビハインドの4回表、追撃の2ランを放った長谷川は3球で追い込まれながらも、ボール球に手を出さずにファウルで粘って8球目を左中間スタンドに運んでいる。

 同点犠飛を放った鈴木もカウント0-2と追い込まれながら、何とか食らいついて、その後の逆転劇につなげる一打を放った。

 今後の若手選手たちの成長のカギは、こうした打席アプローチだろう。

 広島戦の成果を一過性のものにしてはならない。

 松井監督はこう力説する。
 
「打席を重ねる。経験をしていくことが一番大事だと思います。追い込まれてからどうしていくかは、練習では意識していても、やっぱり試合でしか経験できない。日々反省していることを含めて、その繰り返しで成長していくと思う。追い込まれてからボールを取れれば、それは若い選手にとって成功体験になるわけなので、そういった打席を増やしていけるかですね」

 開幕直後に突っ走った愛斗、昇格2戦目にアーチをかけた川越、今季チーム唯一のサヨナラ本塁打を記録した長谷川も、いずれも能力はあるが、あと一歩乗り越えなければならない壁がある。

 リーグ戦再開後からは、ドラフト1位ルーキーの蛭間拓哉が初めて一軍に昇格する。彼も含め、外野陣それぞれが「どんな打席にするか」がレギュラー争いのカギとなっていくだろう。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
 

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