実際のところ、イギリスではまだ野球人気が高まっているとは言えない。スタジアムに集まったファンの大半は、旅行でフロリダやアメリカの他の都市を訪れ、そこで野球の試合を見たことがほぼ唯一の野球とのつながりだと思われる。UKでも野球の試合は放映されているものの大きな人気を得ているとは言い難く、MLBにとって市場開拓は常に困難を抱えるだろう。
ただ、今回のスケジュールはMLBにとって幸運でもあった。イングランド代表とオーストラリア代表が激突するクリケットのアッシュ・シリーズのブレイク期間に行われたからだ。また、ワールドカップのようなサッカーの大会がなかったことも、プロモーションや露出の上では追い風になった。
前回のロンドン・シリーズは両試合ともかなりのハイスコアゲーム(17対13、12対8でヤンキースが連勝)になったことで記憶されている。また、ファンからは座席が遠すぎるとの不満が出ていた。今回、大会主催者はフィールドと座席の距離を近くした。これは選手にも好評だった。また、スコアも通常と変わらないレベルになった(初戦は9対1でカブス、2戦目は7対5でカーディナルスが勝利)。これらの事実は、MLB機構の課題解決能力を示している。 アメリカのボールパークと違うところは、カーディナルスとカブス以外のユニフォームを着ているファンが多かったことだ。私が数えた範囲だけでも、2日間で16チームもあった。実際にはもっと多かったに違いない。これらの事実は、イギリスのファンはカーディナルスとカブスというよりは、ベースボールの試合を見に来ていたことを意味している。そういえば、WBCイギリス代表のユニフォームを着ていたファンもいた。
来年は、メッツとフィリーズがロンドン・シリーズに参加することがすでに発表されている。だが、イギリスでの市場開拓において、MLBはNBAやNFLに遅れを取っているのも事実だ。NBAとNFLはもう20年近くもロンドンで試合を開催している。さらに、いずれもロンドンにいつかチームを創設したいという意向を示唆している。だが、MLBではそれは難しいだろう。
現時点では、ロンドン・シリーズはMLBの宣伝機会に過ぎない。言ってみれば、人気ロックバンドのツアーのロンドン公演のようなものだ。仮にそうだとしても、球場に足を運んだファンにとっては楽しい週末だったに違いない。
文●スティーブ・マッケンジー
著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。
ただ、今回のスケジュールはMLBにとって幸運でもあった。イングランド代表とオーストラリア代表が激突するクリケットのアッシュ・シリーズのブレイク期間に行われたからだ。また、ワールドカップのようなサッカーの大会がなかったことも、プロモーションや露出の上では追い風になった。
前回のロンドン・シリーズは両試合ともかなりのハイスコアゲーム(17対13、12対8でヤンキースが連勝)になったことで記憶されている。また、ファンからは座席が遠すぎるとの不満が出ていた。今回、大会主催者はフィールドと座席の距離を近くした。これは選手にも好評だった。また、スコアも通常と変わらないレベルになった(初戦は9対1でカブス、2戦目は7対5でカーディナルスが勝利)。これらの事実は、MLB機構の課題解決能力を示している。 アメリカのボールパークと違うところは、カーディナルスとカブス以外のユニフォームを着ているファンが多かったことだ。私が数えた範囲だけでも、2日間で16チームもあった。実際にはもっと多かったに違いない。これらの事実は、イギリスのファンはカーディナルスとカブスというよりは、ベースボールの試合を見に来ていたことを意味している。そういえば、WBCイギリス代表のユニフォームを着ていたファンもいた。
来年は、メッツとフィリーズがロンドン・シリーズに参加することがすでに発表されている。だが、イギリスでの市場開拓において、MLBはNBAやNFLに遅れを取っているのも事実だ。NBAとNFLはもう20年近くもロンドンで試合を開催している。さらに、いずれもロンドンにいつかチームを創設したいという意向を示唆している。だが、MLBではそれは難しいだろう。
現時点では、ロンドン・シリーズはMLBの宣伝機会に過ぎない。言ってみれば、人気ロックバンドのツアーのロンドン公演のようなものだ。仮にそうだとしても、球場に足を運んだファンにとっては楽しい週末だったに違いない。
文●スティーブ・マッケンジー
著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。
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