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プロ野球

一世を風靡した1988年生まれ“最強世代”の今。――田中将大ら投手は苦戦も、柳田悠岐、宮﨑敏郎らはチームの原動力に!

出野哲也

2023.07.19

 柳田、宮崎、秋山のように好調な選手も少なくない野手陣に比べ、投手の88年組は総じて苦戦を強いられている。長年中日のエースに君臨していた大野雄大は、開幕4戦目・4月4日のヤクルト戦に先発したのが唯一の登板。左肘遊離軟骨除去手術を受け、復帰は8月になる予定だ。ロッテの石川歩も開幕投手を予定されていたが、キャンプ中に右上肢コンディション不良と発表されたきり、二軍でも実戦登板がない。そのロッテにメジャーから3年ぶりに戻って来た澤村拓一も、4勝13ホールドは記録しているものの、防御率は5点台近くと振るわない。

 西武のクローザー増田達至も、5月上旬には防御率が9点台まで悪化していた。だが交流戦明けからは10試合で1失点と、だいぶ調子を取り戻している。目標としていた球団初の通算200セーブにも、近いうちに到達しそうだ。石山泰稚(ヤクルト)も苦しいチーム状況のなか、中継ぎでまずまずの数字を残している。6人いる投手のうち、ただ一人一軍での登板がないのは塩見貴洋(楽天)。二軍ではリーグ最多の6勝、2位の防御率2.66と安定した投球を見せているので、後半戦の巻き返しがあるかもしれない。
 
 レギュラー以外の野手では、育成契約から3月下旬に支配下へ返り咲いた梶谷隆幸(巨人)が、6月15日の西武戦で巨人移籍後初のサヨナラ打。カープ3連覇時の正捕手だった會澤翼も、7月15日のDeNA戦で決勝犠飛を放った。ともにいい場面はあったけれども、トータルの成績は良いとは言えない。福田永将(中日)は代打で5割以上の出塁率を記録していたが、オールスター前に登録抹消となった。福田秀平(ロッテ)は出場3試合のみ、堂上直倫(中日)と木村文紀(日本ハム)は一軍に姿を見せておらず、高卒時にドラフト1位で入団した3人が厳しい状況を迎えている。

 メジャーでただ一人の88年組である前田健太(ツインズ)も、故障から復帰したばかりで思うような投球はできていない。一世を風靡した名選手たちがもがいている姿を見るのは辛いものだが、斎藤や、ドラフトで6球団が重複指名した大石達也(元西武)も、すでに引退している。30代半ばで現役を続けているだけでも大したものなのだ。調子が出ていない選手たちも、夏場から終盤戦にかけてベテランの働きが必要な場面も出てくるはず。88年組の踏ん張りに期待したい。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。

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