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MLB

エンジェルス以上の大型補強を演じた地区ライバル、まさかの現状維持にGM解任論が噴出したヤンキース――2023年トレード・デッドラインの「勝ち組」「負け組」<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.08.03

【負け組】

●ヤンキース

 MLB最激戦区のア・リーグ東地区にあって7月以降は10勝16敗と負け越し、デッドライン直前にはついに最下位転落。常勝軍団らしく、上位浮上を目指して例年通り補強に動くのか、ハリソン・ベイダーやワンディ・ペラルタラFA間近の選手を放出して「一歩後退」するのか動向が注目されたが、選択したのは「何もしない」だった。

 7月以降に成立したトレードは1件のみ、それもホワイトソックスから平凡なリリーバーのケイナン・ミドルトンを獲っただけで、地元紙『ニューヨーク・ポスト』は「長年の失敗と傲慢が冴えないトレード・デッドラインで顕在化した」とバッサリ。ニューヨークのファンも怒り心頭で、ブライアン・キャッシュマンGMの解任を求める声が噴出している

●ドジャース

 MLBきっての常勝軍団も、今季前半戦は故障者続出に悩まされた。特に先発陣は野戦病院と化していて、アンドリュー・フリードマン編成総責任者も「デッドラインでは先発陣を補強する」と明言していた。

 ところが、結果的には先発投手には3~4番手クラスのランス・リンを加えたのみ。レッドソックスからユーティリティのエンリケ・ヘルナンデスを復帰させ、ガーディアンズからはアーメッド・ロザリオを獲得するなどして野手の層を厚くしたが、本来の目的は果たせなかった。
 
 もちろん、ただ手をこまねいていたわけではなく、ジャスティン・バーランダー(メッツ→アストロズ)争奪戦に参戦したがアストロズにさらわれ、エデュアルド・ロドリゲス(タイガース)に至っては、パドレスらと争奪戦を繰り広げた末に、球団間でトレードの合意を取り付けたにもかかわらず、ロドリゲスがまさかのトレード拒否権を発動し、あえなく白紙に。この時点ですでに期限ギリギリで、あわてて便利屋左腕のライアン・ヤーブローを獲得したものの、理想とは程遠いデッドラインとなってしまった。

●レッズ

 開幕前の下馬評を大きく裏切り、エリー・デラクルーズら若い力を起爆剤としてまさかまさかの地区首位を争う大健闘。後はいまひとつパッとしない先発投手陣を夏のトレード市場で補強すれば、11年ぶりの地区優勝が大きく近づくはずだった。

 しかも、傘下にはデラクルーズやマット・マクレーンらとポジションが重複する内野のプロスペクトが多く、エース級先発投手の獲得は来季以降のチーム作りを考えても理に適っていた。

 だが、ふたを開けてみれば、獲得したのは中継ぎ左腕のサム・モールのみ。エース級どころか、先発投手は一人も獲得できなかった。ニック・クローGMは「先発投手の市場が高騰して条件が合わなかった」と説明しているが、シンシナティのファンにとっては残念な結果だった。

構成●SLUGGER編集部
 

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