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高校野球

大阪桐蔭の連覇に貢献した藤浪と根尾、ダルビッシュに加えて“阿波の金太郎”が登場【SLUGGERが選ぶ本当にスゴイ夏の高校球児ベスト20│11~20位】

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2023.08.06

●17位 吉田輝星(金足農/2018年)

 近年の甲子園は私立校の存在感が増す一方で、公立校の快進撃はすっかり珍しくなった。それだけに、18年の第100回記念大会における“金農旋風”の印象はなおさら鮮烈だった。原動力となったのはエースの吉田。秋田県大会全5試合で完投、決勝では強豪・明桜を11奪三振完封で下し、11年ぶりの大舞台に駒を進めた。甲子園でも吉田は絶対的なエースとして奮闘し、準々決勝まで4試合連続2ケタ奪三振(大会タイ記録)、準決勝までの全試合で完投し、秋田県民のみならず日本中を虜にした。決勝では根尾昂、藤原恭大ら“史上最強世代”が揃う大阪桐蔭の巨大戦力の前に5回12失点とKOされてしまったが、甲子園でも継投が当たり前になった時代に、大会歴代2位の881球を投げ抜いたこともインパクト大だった。

●16位 愛甲猛(横浜/1978・80年)

「エース」で「4番」は高校野球ではよくあるが、ここに「優勝投手」「アイドル」の属性も加わるのは愛甲ただ一人だろう。 ダイナミックな投球フォームから繰り出す速球で1年生の時から注目され、2年ぶりの甲子園となった3年夏には端正なマスクで人気を集める中で快進撃。3回戦から準決勝まではすべて完投勝利、決勝では同じくアイドル的人気を博した荒木大輔擁する早稲田実に投げ勝って横浜高初の夏制覇を成し遂げた。なお、実は名うての「問題児」としても有名で、1年の時には合宿所脱走事件も起こしている。プロでは当初は投手だったが84年から打者に転向し、オールスターに2度出場するなど活躍した。
 
●15位 石井毅(箕島/1978・79年)

 79年に史上3校目の春夏連覇を果たした箕島のエース。1年の時に名将・尾藤公監督のすすめでアンダースローに転向し、2年の春から4季連続で甲子園に出場。小柄ながら巧みな投球術で相手打線を翻弄した。特に79年夏は、延長18回の死闘の末にサヨナラ勝ちした星稜戦(3回戦)を含め、全5試合で完投勝利。甲子園通算14勝(1敗)は、桑田真澄(PL学園)が登場するまで戦後最高記録だった。

●14位 ダルビッシュ有(東北/2003・04年)

 高校時代は“やんちゃ”の評判もありながら、その実力は当時から本物だった。194cmの長身から繰り出す快速球を武器に1年秋からエースに就任。初めての夏の甲子園となった03年は準優勝。故障をおしてマウンドに上がった常総学院との決勝では惜敗し、普段はクールな右腕が先輩たちへの申し訳なさから涙したほどだった。そして、自身最後の夏は1回戦、2回戦と完封勝利。3回戦の千葉経大付戦も8回まで無失点に抑えていたが、9回に味方の失策をきっかけに同点に追いつかれ、延長10回には2死から勝ち越し点を献上。その裏の攻撃では最後の打者となって見逃し三振に倒れると、一瞬悔しそうに口をへの字に曲げた後、肩の荷を下ろしたようなさわやかな笑顔を浮かべたのも印象的だった。
 
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