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高校野球

馬淵監督の「バントができる選手」中心の構成に疑問噴出のU-18侍ジャパン。だが、本質的な問題はもっと深いところにある<SLUGGER>

西尾典文

2023.08.30

 しかし日本の高校野球の場合は、どうしても甲子園大会が中心にあり、代表に選ばれる選手も甲子園に出場した選手が大半にある。ただ今年のように夏の甲子園が終わってからU-18の国際大会までの日程が短いケースが多く、準備期間も満足にとることができていないのだ。

 過去には地方大会と甲子園で計1517球を投げた吉田輝星(金足農・現日本ハム)が、十分な休養期間がないまま国際大会に出場したこともあった。今年も決勝を戦った慶応や仙台育英の選手の負担は大きく、彼ら以外にも同等程度の実力を持った選手は他のチームにもいるはずだ。また、国際大会を選手の成長の機会ととらえるのであれば、チームの成績とは関係なく、純粋に個々の能力や将来性に振り切った選手選考をすべきである。

 全年代を通じての課題解決にはまだまだ時間がかかりそうだが、取り急ぎU-18侍ジャパンの編成について以下の2つを提言したい。

 一つ目は首脳陣を専任にすることだ。現在のチームもそうだが、これまでも高校の監督と兼任しているケースが多く、それでは当然選手選考にも指導にもチーム作りにも大きな労力を割くことはできない。プロとアマチュアの垣根を越えて、影響力のある指導者を常設するのが理想だろう。
 もう一つは選考のプロセスである。現在はセンバツ高校野球が終わった4月に代表候補を集めて合宿を行っているのみだが、それだけでは不十分なことは間違いない。まずは有望選手を集める機会をもっと増やすべきだろう。公式戦が多く難しいという声も多そうだが、各地区の大会期間は気候などの影響で微妙にずれがあるため、それを見越して地区ごとに合宿を行えばクリアできる部分も多い。

 このような地区ごとの合宿を秋と春に一回ずつ行い、夏の甲子園期間には大会に出場できなかった最終候補選手を早めに招集し、最後に甲子園に出場した選手を追加する形にすれば国際大会への準備期間が少ない問題も改善できる。そして何より、力のある選手が各地区とはいえ一堂に会する機会が増えることで、選手のレベルアップ、意識向上にもつながるはずだ。

 選手選考については今大会に限らずさまざまな意見が出るが、見直すべきはもっと大きい部分であることは間違いない。日本野球全体のことを考えても、影響力の大きい高校生年代だからこそスピード感のある改善を求めたい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 
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