メジャー2年目の鈴木誠也は、WBC日本代表に選出されながらも、春季キャンプ中に左脇腹を痛めて辞退し、開幕と同時に10日間のIL入りした。
リハビリを経てメジャー復帰を果たしたのは、開幕から約2週間後の4月14日、ドジャース戦だった。いきなり今季1号本塁打を放って周囲を喜ばせたが、その後は次第に調子を落とし、7月31日時点で打率.249、8本塁打、35打点と苦しんでいた。
とりわけ、チームから期待されていた出塁率と長打率の伸び悩みが目立ち、OPS(出塁率+長打率)はその時点で.713と、メジャー1年目より後退している感じすらあった。それまで我慢の起用を続けていたチームも「メンタル面でのリフレッシュが必要」とし、8月が始まると、鈴木を7試合中5試合で先発から外す苦渋の決断をした。
鈴木がスタメン復帰したのは8月9日のメッツ戦だった。「結果を出さなければ未来はない」という瀬戸際に追い込まれた彼は、10号本塁打を含む3安打を放って息を吹き返すと、8月は22試合の出場で打率.321、5本塁打13打点、OPS1.006と好成績を残した。9月に入っても19日までの18試合で打率.377、6本塁打、18打点、OPS1.204とさらに調子を上げている。
冒頭にも書いた通り、鈴木が19日に記録した同一シーズン19本塁打は、日本人の右打者としては、2006年の城島健司(当時マリナーズ)と井口資仁(同ホワイトソックス)の18本塁打を抜く歴代最多記録だった。 17年間も破られなかったのは、それだけ日本人の右打者の成功例が少ない証でもあるが、鈴木自身は以前からその理由をこう推測していた。
「当然、右投げのピッチャーが多いですし、シンカーとかはメジャー独特で、日本ではあんまり感じられないような軌道で来る。それにもちろんスピードも速いし、(右打者にとっては)難しいのは間違いないですけど、特には気にしてないです」
「スピード」というのは、単に球速だけのことではない。マウンドに立つピッチャーの身体が大きかったり、手が長かったりすれば、日本の投手の球の出どころや角度、体感速度は随分違うだろう。加えて、野手の身体能力も相対的に高いので、日本なら野手のいない場所に飛ぶはずの打球に追いつかれることも多い。
大事なのは「じゃあ、どうするのか?」だ。
鈴木は日本のプロ野球とはまったく違う環境、プレーの強度も質も違うベースボールに適応するため、2年近くの時間を費やしてきた。
打席の中では、もがき、苦しみ、時には自分に腹を立てているようだった。日本で揺るぎないものにしたはずの打撃について、メジャーリーグのピッチャーたちに適応できるように、考えに考え抜いた結果、前述のように試合で結果が出ず、ピッチャーではなく自分自身と戦う羽目にもなった。
だが、鈴木は諦めなかった。
もう駄目だ、と自ら白旗を上げることだけはなかった。
19本塁打を放った夜、彼はこう言った。
「やっぱり、翔平があれだけ抜けてますし、19本で喜んでいいのかなっていうのもあるんで、特に気にしてないです。このリーグには上には上がたくさんいるし、19本で喜んでるようではこのまま終わってしまうと思う」
リハビリを経てメジャー復帰を果たしたのは、開幕から約2週間後の4月14日、ドジャース戦だった。いきなり今季1号本塁打を放って周囲を喜ばせたが、その後は次第に調子を落とし、7月31日時点で打率.249、8本塁打、35打点と苦しんでいた。
とりわけ、チームから期待されていた出塁率と長打率の伸び悩みが目立ち、OPS(出塁率+長打率)はその時点で.713と、メジャー1年目より後退している感じすらあった。それまで我慢の起用を続けていたチームも「メンタル面でのリフレッシュが必要」とし、8月が始まると、鈴木を7試合中5試合で先発から外す苦渋の決断をした。
鈴木がスタメン復帰したのは8月9日のメッツ戦だった。「結果を出さなければ未来はない」という瀬戸際に追い込まれた彼は、10号本塁打を含む3安打を放って息を吹き返すと、8月は22試合の出場で打率.321、5本塁打13打点、OPS1.006と好成績を残した。9月に入っても19日までの18試合で打率.377、6本塁打、18打点、OPS1.204とさらに調子を上げている。
冒頭にも書いた通り、鈴木が19日に記録した同一シーズン19本塁打は、日本人の右打者としては、2006年の城島健司(当時マリナーズ)と井口資仁(同ホワイトソックス)の18本塁打を抜く歴代最多記録だった。 17年間も破られなかったのは、それだけ日本人の右打者の成功例が少ない証でもあるが、鈴木自身は以前からその理由をこう推測していた。
「当然、右投げのピッチャーが多いですし、シンカーとかはメジャー独特で、日本ではあんまり感じられないような軌道で来る。それにもちろんスピードも速いし、(右打者にとっては)難しいのは間違いないですけど、特には気にしてないです」
「スピード」というのは、単に球速だけのことではない。マウンドに立つピッチャーの身体が大きかったり、手が長かったりすれば、日本の投手の球の出どころや角度、体感速度は随分違うだろう。加えて、野手の身体能力も相対的に高いので、日本なら野手のいない場所に飛ぶはずの打球に追いつかれることも多い。
大事なのは「じゃあ、どうするのか?」だ。
鈴木は日本のプロ野球とはまったく違う環境、プレーの強度も質も違うベースボールに適応するため、2年近くの時間を費やしてきた。
打席の中では、もがき、苦しみ、時には自分に腹を立てているようだった。日本で揺るぎないものにしたはずの打撃について、メジャーリーグのピッチャーたちに適応できるように、考えに考え抜いた結果、前述のように試合で結果が出ず、ピッチャーではなく自分自身と戦う羽目にもなった。
だが、鈴木は諦めなかった。
もう駄目だ、と自ら白旗を上げることだけはなかった。
19本塁打を放った夜、彼はこう言った。
「やっぱり、翔平があれだけ抜けてますし、19本で喜んでいいのかなっていうのもあるんで、特に気にしてないです。このリーグには上には上がたくさんいるし、19本で喜んでるようではこのまま終わってしまうと思う」
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