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プロ野球

最速159キロも…まだ本気じゃない!? 無名の快速右腕ドラフト候補“富山の大谷”は「唯一無二のピッチャー」になれる逸材か

岩国誠

2023.10.25

富山サンダーバーズの指導陣。左:細谷圭コーチ(元ロッテ)、中:西村憲コーチ(元阪神)、右:吉岡雄二監督(元近鉄)。写真:岩国誠

富山サンダーバーズの指導陣。左:細谷圭コーチ(元ロッテ)、中:西村憲コーチ(元阪神)、右:吉岡雄二監督(元近鉄)。写真:岩国誠

 入団当初、大谷の投球フォームは、外側に力が分散しているようなフォームだった。「その投げ方だとケガをする」。大谷にそう話した西村コーチは、その高いポテンシャルを発揮できるよう、フォームの修正に着手した。

「なんて言ったらいいんですかね・・・。(投球フォームを見て)体を正しく使えてないな、力の伝え方がよくないなって最初に思いました。これは本人にも言っていることですが、あのままのフォームだったら、肘や肩など体のどこかにダメージが出ていた可能性があったと思います」

 大谷が能力を最大限に発揮しながらも、故障のリスクがないようにするためには、理にかなった体の使い方を知る必要があると考えた。自分の体は自分で守ってほしい。それは、自らも阪神時代に故障を経験し、苦しい現役生活を送っていることも決して無縁ではないだろう。
 
 独学で学んできた経験や知識をもとに、キャッチボールから体のバランスや使い方を意識させることよって、理にかなったフォームへと改善に取り組んだ。その結果、大谷の制球は安定し、球速も上昇していった。

「彼だけでなく、選手たちの体を守ろうと手助けしただけです。元々、球速を出せるポテンシャルの高さは感じていましたが、150中盤を投げた次の日でも、ダメージが軽減できているというのは、今は理にかなった投げ方ができているということなんだと思っています。あれだけの球速を出しながら、ケガなくきているということを僕は評価したいですね」

 富山の試合で、大谷はスカウトが注目する中で、自らの武器を見せつけた。しかし10日後、さらに周囲を驚かせることとなった。

 9月29日。愛媛で開催された独立リーグの日本一を決める「グラウンドチャンピオンシップ2023」の出場を決めていた富山は、準々決勝で四国アイランドリーグ覇者・徳島インディゴソックスと対戦。7回に4人目で登板した大谷が、今年のドラフト候補で最速タイとなる159キロを叩き出したのだ。

 周囲の反応をよそに西村コーチは冷静に振り返った。

「普段の取り組みを見てるピッチングコーチとしては、別に何も驚かないというか、そこまでは出るだろうと思っていました。これまでも156とか、157を見てきましたけど、まだ大谷自身の中で(力を)セーブしてるような状態で、その数字を出していたので、僕はあんまりびっくりはしてないっていう感じですね。まあ出るだろうなとは思ってましたね」
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