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プロ野球

【2019総括・広島】3連覇の代償が…ブレイク組のプラス分をはき出した主力の不調

前原淳

2019.12.19

▶2019年を象徴する試合
8月12日/広島7ー8巨人/マツダスタジアム
巨|402 001 010|8
広|102 201 011|7
[勝]大竹(3-0-0)
[敗]アドゥワ(3-5-0)
[S]デラロサ(1-0-2)
[本]巨:ゲレーロ(15) 広:菊池涼(10)

 まだ優勝の可能性を残していた8月12日、首位巨人戦との3連戦初戦を迎えた。ゲーム差は3.5。3連勝で一気に肉薄できる。最低でも勝ち越して差を縮めたかった。

 すでに2ケタ勝利を挙げていた巨人先発の山口俊に対し、広島は若いアドゥワ誠を先発に立てるも、初回に4失点。3回には3ランも被弾した。それでも打線は1番に固定された西川が3安打でチャンスメークすると、4番・鈴木誠也ら中軸がポイントゲッターとなり、最大5点もあった点差は中盤までに1点まで迫った。ただ、4回無死二塁から代打坂倉将吾、5回2死満塁から代打・安部友裕がいずれも凡退。追いつき、追い抜く好機を逃した。終わってみれば14残塁。丸や新井が抜けたことによる選手層の低下が得点力に影響した。

 また、中継ぎ陣も踏ん張れない。一岡、今村が揃って失点。「逆転の広島」を陰で支えていた中継ぎ陣に疲労の色が見えた今季を象徴するようだった。結局1点差で敗れ、同カード負け越し。首位巨人との差を4・5ゲームに広げられた。
 
▶来季キーマン
田中広輔

 来季の広島のキーマンは、3連覇に貢献しながら、今季は大不振に陥った田中広だろう。小窪哲也、會澤翼から選手会長のバトンも引き継いだ。選手として巻き返しが期待されるとともに、どちらかといえば自分のプレーに黙々と取り組むタイプの彼がどのようなリーダーシップを発揮するのか注目される。

 万全な状態となれば、守備力、経験値からすると、遊撃の一番手となるのは間違いないだろう。8月28日には右ヒザ半月板部分切除手術を受け、リハビリはすでに最終段階。来春のキャンプ初日から全力疾走の背番号2が見られるに違いない。「1番遊撃」の定位置には「やりがいも僕が一番分かっていると思う。若い選手と切磋琢磨していきたい」と決意を新たに、来年はチームの先頭、打線の先頭に立って牽引役となる。

文●前原惇
【著者プロフィール】
1980年7月20日、福岡県生まれ。現在は外部ライターとして日刊スポーツ・広島担当。0大学卒業後、編集プロダクションで4年間の下積みを経て、2007年に広島の出版社に入社。14年12月にフリー転身。華やかなプロ野球界の中にある、ひとりの人間としての心の動きを捉えるために日々奮闘中。取材すればするほど、深みを感じるアスリートの心技体――。その先にある答えを追い続ける。『Number』などにも寄稿。
 

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