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プロ野球

「富山にすごいボールを投げるヤツがいる」独立リーグで159キロを叩き出した豪腕・大谷輝龍は幕張で“光輝く龍”へ進化する

岩国誠

2023.11.02

 最速159キロのストレートが持ち味の大谷だが、ロッテにはもっと速いストレートを投げる男がいる。今年4月に日本最速タイの165キロを記録した令和の怪物・佐々木朗希だ。2月のキャンプでは、その佐々木朗と並んでブルペン入りすることもあるかもしれない。もちろん大谷も、年下の先輩との対面を心待ちにしている。

「(聞きたいことは)いろいろとあるんですけど、投げている感覚を(聞いてみたい)。フォームもそうですが、真っすぐだったり、フォークだったりをどういう風に投げているのか。見ても学びたいし、聞いて教わったりもしたいですね」

 また、大谷自身が憧れを抱く存在大谷翔平(エンジェルス)を日本ハム時代に育てた吉井監督と黒木知宏投手コーチから指導を受けることも興味深い。

「大谷翔平選手を育てたと聞いて、どういう指導をしてくださるのかっていう楽しみもありますし、本当に(チームの)力になりたいという思いがあります」

 今年、富山で成長を見続けてきた西村コーチは159キロを出した試合後、「まだまだ球速は出ると思う。末恐ろしいですよ」と話していた。即戦力での獲得ではあるが、その潜在能力をさらに引き出す自信はチームとして持っているのか。榎スカウト部長にその質問をぶつけると真摯に答えてくれた。

「僕らは良い素材の選手を獲得して、あとはその道の専門である吉井監督たちにお任せします。そこは大きく育ててくれると、こちらも自信がありますので。(大谷は)23歳ですけど、伸び代を感じる投手ですので、ここからもっともっと大きな選手になっていってほしいなと思っています」
 
 今回のドラフトでは、独立リーグの選手が数多く指名を受けたが、その中で真っ先に指名を受けたのが大谷だった。それだけその才能が高く評価されたと言えるだろう。自分をNPBの舞台まで押し上げてくれた独立リーグでの1シーズンは、大谷にとってどんな時間だったのだろうか。

「本当に野球のことだけという環境なので、一日中野球のことだけを考えられました。休む時間も作れましたが、熱心になる時間も多く作ることができ、そういう部分で充実した時間になったと思います」

 その時間を支えてくれたのが、どんな時でも応援してくれたファンの存在だった。

「どの試合にも熱心に来てくれる方もいました。そうした皆さんの応援は本当に助かりましたし、僕自身も直接話をすることも出来たので、そういう部分で素直に嬉しかったと思っています」

 今後は本契約を結んだ後、年内に新入団発表会を行い、年明けには選手寮への入寮から新人合同自主トレと、慌ただしくNPBでの新生活がスタートしていく。

 独立リーグで芽吹いた才能が、NPBの大舞台でどれだけ大きな花を咲かせるのか。“北陸の大谷”から“幕張の大谷”へ。球界最速投手や名伯楽との新たな出会いが、さらなる化学反応を呼び起こし、その名の通り光輝く龍へと進化を遂げるのか。千葉ロッテマリーンズ・大谷輝龍の今後に大きく期待したい。

取材・文●岩国誠

【著者プロフィール】
いわくにまこと:1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。

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