当時の代表監督である栗山英樹氏は、侍ジャパン世界一奪還の「切り札」として、メジャー２年目でカーディナルスのレギュラーを奪取した日系人に白羽の矢を立てた。

　名門球団の先頭打者の座を掴み、大ブレークを果たしたヌートバーの身体能力に惚れ込んだ栗山監督は、彼と直接コンタクトをとるため、大谷の通訳を務めていた水原氏に極秘相談。のちにヌートバーは、米ミズーリ州の地元紙『St. Louis Post-Dispatch』の独占インタビューで同氏からインスタグラムにDMが届いたことを明かし、その内容は「日本代表としてプレーすることに興味はあるか」と問うものだった。

　同紙の記事内で日本代表でプレーすることについて、「とてつもなく光栄なことだ。信じられないこと。母と、母方の家族のために…とてもありがたく思っている」と謝意を述べ、「そのような環境に身を投じるのは本当にエキサイティングなこと。待ちきれないよ」と意気込みを語り、侍ジャパン入りを即決した経緯を説明した。
  　WBC期間中は日本語が話せないヌートバーがチームに馴染めるよう、大谷とともに気遣いを見せ、栗山監督やコーチ陣とのパイプ役として率先して行動した水原通訳。優勝後にチームで臨んだ会見では、ヌートバーが英語で「誘ってくれたイッペイにも感謝しています」とコメント。これを訳したのが、水原通訳本人だっただけに、会場は笑いに包まれるエピソードが話題になったほど、その人望は厚い。

　もはや通訳の域を超えて、多岐にわたる活躍を見せている水原通訳。現地14日の午後３時頃（日本時間15日午前８時）に予定されているドジャース入団会見では、久々に大谷と一緒に出席する。最強コンビが世界中の野球ファンに向けて、どんなことを語るのか。その第一声は注目だ。　

構成●THE DIGEST編集部

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