堀内にとって自己主張とは、単なる感情的な一方通行ではない。投手とのコミュニケーションの一環であり、捕手としての成長に不可欠な作業でもあるわけだ。
「だって、今の自分はまだまだピッチャーをわかってあげられていないんで」
この言葉、簡素なように思えて、実際は深い意味を持つ。
楽天投手陣のほとんどが圧倒的に嶋とバッテリーを組んでいた機会が多いことを、堀内は真正面から受け止めている。
昨季、堀内とバッテリーを組むことが多かった先発の辛島航や美馬学をより深く知るために、彼らをリードする嶋の映像をくまなくチェックして参考にした。試合では、自分の考えをベースに「嶋さんと組んでいた時はこうだったかな?」など配球を吟味して、その時のベストな1球を導き出す。そこで抑えれば自信となり、打たれれば反省する。
その上で堀内は自我を出し、投手陣との信頼関係を深めていった。成果は彼の言葉に触れれば上々だったのだと、推察できる。
「ピッチャーと話をして、考え方とかだんだんわかるようになってきましたね。少しずつですけど、自分で感じたことを試合で出せるようにもなってきました」
その「少しずつ」の確率を高めるべく、堀内は今季も投手に自らの意志を積極的に伝え、最適な1球をリードし、ボールを受ける。
「ホリケンのリードがよかったから」
投手たちのそんな評価が増えるたび、堀内はきっと、正捕手に近づけたと実感する。
取材・文●田口元義
【著者プロフィール】
たぐち・げんき/1977年生まれ。野球を中心に雑誌やウェブサイトに寄稿。2019年2月に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)を上梓した。
「だって、今の自分はまだまだピッチャーをわかってあげられていないんで」
この言葉、簡素なように思えて、実際は深い意味を持つ。
楽天投手陣のほとんどが圧倒的に嶋とバッテリーを組んでいた機会が多いことを、堀内は真正面から受け止めている。
昨季、堀内とバッテリーを組むことが多かった先発の辛島航や美馬学をより深く知るために、彼らをリードする嶋の映像をくまなくチェックして参考にした。試合では、自分の考えをベースに「嶋さんと組んでいた時はこうだったかな?」など配球を吟味して、その時のベストな1球を導き出す。そこで抑えれば自信となり、打たれれば反省する。
その上で堀内は自我を出し、投手陣との信頼関係を深めていった。成果は彼の言葉に触れれば上々だったのだと、推察できる。
「ピッチャーと話をして、考え方とかだんだんわかるようになってきましたね。少しずつですけど、自分で感じたことを試合で出せるようにもなってきました」
その「少しずつ」の確率を高めるべく、堀内は今季も投手に自らの意志を積極的に伝え、最適な1球をリードし、ボールを受ける。
「ホリケンのリードがよかったから」
投手たちのそんな評価が増えるたび、堀内はきっと、正捕手に近づけたと実感する。
取材・文●田口元義
【著者プロフィール】
たぐち・げんき/1977年生まれ。野球を中心に雑誌やウェブサイトに寄稿。2019年2月に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)を上梓した。