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プロ野球

【西武】室内練習場に響いた異質な鈍い音… 小気味よい打球音の中で、黙々とキャッチング練習を続けた古賀悠斗の覚悟

岩国誠

2025.02.15

打撃練習で仁志コーチのアドバイスを受ける古賀。写真:岩国誠

打撃練習で仁志コーチのアドバイスを受ける古賀。写真:岩国誠

 去年秋から、西口監督は何度か「選手たちが考えて」と発言している。チームが勝つためにできることは何か。そこを考えた時に古賀が今できることとして思い当たったことのひとつが、自身の癖であるキャッチング時の大きな捕球動作を改善することだった。

「実戦に入る前に、不安要素を消せる時間は全て使おうと思っています」

 捕り方ひとつで判定が変わる。1球だけを見れば些細なことかもしれないが、その1球の判定が試合の行方を大きく左右することが多いのが勝負の世界だ。
 
 主審からの見え方も意識しながら、キャッチングでの無駄な動きを省き、投球されたボールを正確な位置で素早く捕ることによって、ストライクにきたボールをしっかりストライクと判定してもらう。そうすることで、チームのストロングポイントである投手陣に実力通りの力を発揮してもらい、試合を優位に進めたいーー。キャッチング練習を始めとする一連の所作から、そんな古賀の意志が感じられた。

「今年は打たないといけないと思っています」

 もちろん打撃をおろそかにするつもりはない。オフには中央大学の1年先輩になるDeNA・牧秀悟(26)の自主トレに参加。ルーキーイヤーから結果を残している右打者から、下半身主導の打撃を教わってきた。

「去年のキャンプでは、センター方向にライナーを打つイメージでやっていましたが、ただ漠然とセンターへという感じで、あまり考えていませんでした。今年は打球方向とかの意識はしていませんが、牧さんに教えていただいた部分を踏まえて、体の使い方、タイミングの取り方、ボールに対してバットを入れる角度、その3つを意識してやっています」

 昨シーズンは自己最多の105試合に出場したものの、打率.228、3本塁打、12打点と打撃で目立った結果は残せてはいない。

 牧に教わってきたことをベースに打撃練習では、DeNA二軍監督として牧を見てきた仁志敏久一軍野手チーフ兼打撃コーチから、積極的にアドバイスを受けている場面が多く見られた。

「日々成長していくために、いろいろな話をさせていただいています。自分自身でもティー打撃でできていることが、実際の投手の球を打つとなるとちょっと崩れたりすることもあって、色々相談しながらやっています」

 この2シーズン、連続で100試合に出場している古賀は、現時点で正捕手の筆頭候補だ。しかし古賀自身はそこに慢心するどころか、このキャンプでは細部にもこだわり、一層気を引き締めて取り組んでいるようにも感じられた。それは責任あるポジションと真摯に向き合う意志の現れ、覚悟ではないだろうか。

「監督がレギュラー白紙という方針を出しているので、キャッチャーというポジションが1つしかない以上、僕はそこを獲りに行くだけです」

 真・獅子の正捕手を目指す古賀悠斗が今シーズンどんな姿を見せてくれるのか。今から楽しみだ。

取材・文●岩国誠
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