その一人、右腕投手の根岸は桜美林大学、JFE西日本を経てBCリーグの茨城球団に進んだ後の2023-24年、コロンビアの名門カイマネスでMVPに輝いた実績を持つ。2024年はメキシカン・リーグのリエレロス・デ・アグアスカリエンテから開幕直前にリリースされたが、26歳となった今もキャリアアップを貪欲に目指している。
「コロンビアやメキシコで挑戦して、価値観、マインドが変わりました。 何歳までできるか分からないので、いろんな国で1試合でも多くプレーしてキャリアを積んでいきたい。今までの野球人生はトップエリートと程遠かったと思うので、カリビアンシリーズという大舞台でチャンスをつかみたいとやって来ました」
同じく右腕投手の浅野はベネズエラでの親善試合がきっかけとなり、25年シーズン、メキシカン・リーグのエル・アギラ・デ・ベラクルスと契約を結んだ。
「中南米でプレーして感じたのは、何となく投げたボールや、ちょっと弱気で投げたボールは打たれるということです。でも気持ちがこもって、強く投げた真ん中のボールが打たれなかったりする。中南米の選手はスウィングも速いし、実績もすごい方々ばかりですけど、そこで怖気づかずに、まずは気持ちで負けないように戦っていきたいと思います」
同じくメキシカン・リーグの球団からオファーが届いている中、より良い契約を求めてカリビアンシリーズに参加したのが二宮だ。昨年は新球団くふうハヤテでウエスタン・リーグ2位の奪三振を記録した。
「今年は27歳の年で、ピッチャーだと27か28歳が最後のチャンスだと思っています。今年は違うチームで去年よりいい成績を出して、NPBに行けるなら行きたい。海外もいいけど、日本の方がご飯も美味しいし、友だちも家族もいるし。日本でちやほやされたいですね」
一方、カリビアンシリーズの第3戦、開催国メキシコとの一戦に特別な思いで先発したのが平間だった。メキシコ代表のチャロス・デ・ハリスコとは因縁があるからだ。22年夏にメキシカンリーグの名門ディアブロス・ロホス・デル・メヒコでプレーしていた頃、ウインターリーグのチャロスから外国人ドラフトで指名されたが、契約に至らなかった、という経緯があった。 「契約しなかったことを後悔させるようなピッチングをしたいという意味で、いつも以上に気合が入っていました。だけど僕の場合、熱くなりやすいので、どこか冷静になるための準備もしないといけない。そういう意味で100%の準備ができたと思います」
結果は4回2失点。あえてフォークを高めに投げてカウントを稼ぐなど、持ち味の投球術で試合をつくった。平間は専修大、日本製鉄東海REX、高知ファイティングドッグス、さらにメキシカ・ンリーグなどを渡り歩き、30歳までプレーし続けたからこそ、自身の持ち味をうまく発揮できるようになったと語る。
「僕は普通の野球選手とは違いますし、経歴も結構ぶっ飛んでいます。普通の選手でないことは多々自覚しているので、だからこそいろいろな選手を見て、野球選手として突き詰めてきました。今は本当に野球が楽しい。どこの世界であれ、チームに貢献するスターターになることが一番の目標です」
カリビアンシリーズでは変化球をうまく使った投球術を披露し、25年シーズンに向けてオファーを待っている状態だ。吉報は届くだろうか。
中南米のウインターリーグには、日本球界とは大きく異なる価値観がある。どちらが良いという話ではなく、日本では得られないチャンスが地球の裏側には転がっているのだ。
ジャパンブリーズはカリビアンシリーズで4戦全敗に終わったが、メジャーリーグやメキシコ球団のスカウトが見守るショーケースで持ち味を発揮した選手もいた。そうしたチャンスを最高峰の舞台で得られたという意味で、彼らの踏み出した一歩には間違いなく大きな意義があった。
取材・文●中島大輔
【著者プロフィール】
なかじまだいすけ。スポーツライター。1979年埼玉県生まれ。2005年から当時セルティックの中村俊輔を4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材している。『中南米野球はなぜ強いのか』(亜紀書房)で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞を受賞した。その他著書に『プロ野球 FA宣言の闇』(亜紀書房)、『野球消滅』(新潮新書)など。
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「コロンビアやメキシコで挑戦して、価値観、マインドが変わりました。 何歳までできるか分からないので、いろんな国で1試合でも多くプレーしてキャリアを積んでいきたい。今までの野球人生はトップエリートと程遠かったと思うので、カリビアンシリーズという大舞台でチャンスをつかみたいとやって来ました」
同じく右腕投手の浅野はベネズエラでの親善試合がきっかけとなり、25年シーズン、メキシカン・リーグのエル・アギラ・デ・ベラクルスと契約を結んだ。
「中南米でプレーして感じたのは、何となく投げたボールや、ちょっと弱気で投げたボールは打たれるということです。でも気持ちがこもって、強く投げた真ん中のボールが打たれなかったりする。中南米の選手はスウィングも速いし、実績もすごい方々ばかりですけど、そこで怖気づかずに、まずは気持ちで負けないように戦っていきたいと思います」
同じくメキシカン・リーグの球団からオファーが届いている中、より良い契約を求めてカリビアンシリーズに参加したのが二宮だ。昨年は新球団くふうハヤテでウエスタン・リーグ2位の奪三振を記録した。
「今年は27歳の年で、ピッチャーだと27か28歳が最後のチャンスだと思っています。今年は違うチームで去年よりいい成績を出して、NPBに行けるなら行きたい。海外もいいけど、日本の方がご飯も美味しいし、友だちも家族もいるし。日本でちやほやされたいですね」
一方、カリビアンシリーズの第3戦、開催国メキシコとの一戦に特別な思いで先発したのが平間だった。メキシコ代表のチャロス・デ・ハリスコとは因縁があるからだ。22年夏にメキシカンリーグの名門ディアブロス・ロホス・デル・メヒコでプレーしていた頃、ウインターリーグのチャロスから外国人ドラフトで指名されたが、契約に至らなかった、という経緯があった。 「契約しなかったことを後悔させるようなピッチングをしたいという意味で、いつも以上に気合が入っていました。だけど僕の場合、熱くなりやすいので、どこか冷静になるための準備もしないといけない。そういう意味で100%の準備ができたと思います」
結果は4回2失点。あえてフォークを高めに投げてカウントを稼ぐなど、持ち味の投球術で試合をつくった。平間は専修大、日本製鉄東海REX、高知ファイティングドッグス、さらにメキシカ・ンリーグなどを渡り歩き、30歳までプレーし続けたからこそ、自身の持ち味をうまく発揮できるようになったと語る。
「僕は普通の野球選手とは違いますし、経歴も結構ぶっ飛んでいます。普通の選手でないことは多々自覚しているので、だからこそいろいろな選手を見て、野球選手として突き詰めてきました。今は本当に野球が楽しい。どこの世界であれ、チームに貢献するスターターになることが一番の目標です」
カリビアンシリーズでは変化球をうまく使った投球術を披露し、25年シーズンに向けてオファーを待っている状態だ。吉報は届くだろうか。
中南米のウインターリーグには、日本球界とは大きく異なる価値観がある。どちらが良いという話ではなく、日本では得られないチャンスが地球の裏側には転がっているのだ。
ジャパンブリーズはカリビアンシリーズで4戦全敗に終わったが、メジャーリーグやメキシコ球団のスカウトが見守るショーケースで持ち味を発揮した選手もいた。そうしたチャンスを最高峰の舞台で得られたという意味で、彼らの踏み出した一歩には間違いなく大きな意義があった。
取材・文●中島大輔
【著者プロフィール】
なかじまだいすけ。スポーツライター。1979年埼玉県生まれ。2005年から当時セルティックの中村俊輔を4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材している。『中南米野球はなぜ強いのか』(亜紀書房)で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞を受賞した。その他著書に『プロ野球 FA宣言の闇』(亜紀書房)、『野球消滅』(新潮新書)など。
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