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【玉木正之のベースボール今昔物語:第7回】昔の選手や監督は「記者の野球経験」を重視したものだが……取材で一番大事なのは「キチンとした服装」なのだ!<SLUGGER>

玉木正之

2025.04.03

 酒好きで、泥酔することも少なくない酔っ払いのオッサンが何を言うのか、とも思ったが、ノーマン・メイラーがボクシング・ヘビー級の試合をルポした名作『一分間に一万語』に書かれた「毛ジラミの話」を読んで、確かに……と思わされたのだった。

 そして『週刊プレイボーイ』の仕事でドジャースのピーター・オマリー・オーナーに取材に行った95年、オーナーにインタビューするのだから、真夏のロサンゼルスとはいえ背広にネクタイ姿でドジャー・スタジアムに赴いたところ、野茂英雄の取材で同地を訪れていた佐瀬さんとバッタリ出逢った。佐瀬さんも背広にネクタイ姿だった。

 試合前にインタビューを済ませて佐瀬さんと記者席で会ったのだが、「おおっ、イイねえ。キチンとしてるねえ」 と佐瀬さんに言われて、「ええ、まぁオーナーにインタビューがあったものですから」と答えた。が、そんなものがなくてもネクタイに背広姿の佐瀬さんは、試合後の野茂選手への共同インタビューで何度も鋭い質問を投げかけていた。

「今日は3回までパーフェクト・ピッチング。このまま行ってやろうと思ったでしょう」
「いや、そこまでは思わないですよ」
 
 いつもは無口だと言われる野茂も、苦笑いしながらまんざらでもないという表情を見せた。

 私も佐瀬さんに負けじと、「今日はフォーク以外にカーブも投げましたよね。今後も使っていくつもりですか?」と訊くと、野茂は「(僕の)カーブはヘタクソですからねえ」と言って笑った。

 記者会見でそんな記憶に残るような会話ができたのも、佐瀬さんのアドバイスに従った服装のおかげだと思っている。

 今年は大谷翔平や佐々木朗希らを目当てに、大勢の日本人記者が暑いアリゾナのドジャースのキャンプ地を訪れたようだが、彼らの服装は果たしてどのようなものだったのだろうか?

文●玉木正之

【著者プロフィール】 たまき・まさゆき。1952年生まれ。東京大学教養学部中退。在学中から東京新聞、雑誌『GORO』『平凡パンチ』などで執筆を開始。日本で初めてスポーツライターを名乗る。現在の肩書きは、スポーツ文化評論家・音楽評論家。日本経済新聞や雑誌『ZAITEN』『スポーツゴジラ』等で執筆活動を続け、BSフジ『プライムニュース』等でコメンテーターとして出演。主な書籍は『スポーツは何か』(講談社現代新書)『今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう!』(春陽堂)など。訳書にR・ホワイティング『和を以て日本となす』(角川文庫)ほか。
 

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