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プロ野球

「理想の感覚からすると50~60%くらいですかね」4番奪回へファームでもがき続ける中日・石川昂弥の“現在地”【前編】<SLUGGER>

加賀一輝

2025.05.28

 もちろん自分だけにとどめることはなく、首脳陣とも感覚を共有する。小池正晃二軍打撃統括コーチや福田永将二軍打撃コーチ、落合英二二軍監督と意見交換を頻繁に行う。「これをすれば一軍」という明確な宿題はないが、呼ばれた時に結果を出せる状態は心得ている。

「もちろん僕の意思では(昇格を)決められませんが、多分見ている人も分かると思います。今はそこを目指してやっています」

 冒頭で書いたように、今季は井上新監督の意向もあり、当初から「4番・三塁」での起用が決まっていた。

 石川昂が4番を打つのはこれが初めてではない。アマチュア時代から何度も打ってきた打順で、プロ入り後も一昨年に85試合で重責を担った。今季、改めて4番に指名されたことについてはどう思ったのか。

「意気に感じていました。個人的には3番でも5番でも任された打順を打つだけだと思っていますが、その中で監督に指名されたのは素直にありがたかったです」
 流麗なスウィングから放たれる鮮やかな放物線は、なかなか他の打者には出せないものがある。加えて、コンタクト能力の高さや変化球への対応が上手い部分が評価され、昨春には井端弘和監督が侍ジャパンに招集。近未来のフル代表候補に名を連ねている。

 一方で、スウィングが綺麗すぎるがあまりに、凡打の際は淡白に見えてしまうこともしばしば。そこから変貌を遂げるべく、今季は打席での「荒々しさ」や「怖さ」を身につけるアプローチに挑戦していた。

 ボールを呼び込んで打つスタイルから、どんどん振って対応するスタイルへ変わっていく最中で実戦での結果が出ず、守備にも影響を及ぼしてしまったところで、ファーム行きが告げられた。本人は明言を避けたが、難しいアプローチを強いられたと思う。

 ファームでは「荒々しく」というのはあまり意識せず、自らの感覚を研ぎ澄ませることを優先している。「ちょっとずつ良くなっている」ものを積み重ねて、理想の感覚が出てきた時、おそらく石川昂のバットからは長打が連発されるだろう。その瞬間を逃さぬように、今は打席に立ち続けるだけだ。
【後編へ続く】

取材・文●加賀一輝

【著者プロフィール】
かが・いっき。1988年3月6日、愛知県生まれ。成蹊大学卒業後、一般企業を経て独立。ライティング、MCなど幅広く活動する。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』などへの寄稿を経験。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

【記事】「高校野球の時みたいに一球一球に泥臭くやりたい」4番奪回へファームでもがき続ける中日・石川昂弥の“現在地”【後編】<SLUGGER>
 
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