当時、彼はこんな話をしている。
「もともとプロ1年目は試合後の練習はやっていたんですけど、いつしかやらなくなっていました。なかなか1年目の成績を超えられていなくて、何が足りないんだろうと思った時に1年目は何をしてただろうと思ったら、試合後はいつも室内でバッティングしていたなって思い出したんですよね。当時は山川さんや栗山(巧)さん、レギュラーで試合に出ている方が試合後もバリバリ練習していて、そこに影響されていました。成績が上がらないのは練習量が足りないのかと思って、23年シーズンは騙されたと思ってもう一度、やってみようと思って1年間やり続けたんです」
そうした姿勢が当時の首脳陣には響き、いつかチャンスをやりたいという思いにつながった。怪我人が続出し、山川が私生活上の問題で離脱したこともあり、出場機会が増えていくと、徐々に結果もついてくるようになった。
7月は11試合に出場して打率.346。出塁率は4割を遥かに超え、OPSは1.084を叩き出した。アピールに成功すると、そのままレギュラーに定着。最終的に91試合で打率.263、3本塁打、出塁率.390を記録した。
その年、佐藤は最後まで試合後の練習をやり遂げた。レギュラーとして試合に出るとそれで満足してしまいそうだが、あの時の佐藤は止まらなかった。試合後の練習に手応えも得ていたからだ。 当時の佐藤は次のように語っている。
「今年からボールの見え方が特に変わったりしたとかそういうことはまったくないんです。本当に打つべき球を打ちに行けて、そして、打たなくていいボールを捨てられていたと思う。シーズンに入ってから好不調の波を作らないように自分の中でしっかり練習時間を確保してやってきたんで、 それが終盤に生きたと思います」
すでに書いたように、シーズン当初の佐藤はレギュラーではなかった。一軍にいるからといって、レギュラー陣と同じ時間に帰宅していたら、差は開く一方だっただろう。試合での活動量が少ない分を練習量で補う。それを貫き通すことで、佐藤のパフォーマンスは着実に上がったのだ。
24年シーズンも、体力面でケアしないといけない時期はしっかり休んだが、それ以外は怠ることはなく練習を続けた。そんな佐藤の姿勢を、西川愛也や滝澤夏央も見習っていた。昨季はチームにとってどん底のシーズンだったが、試合後も練習に汗を流すという西武の伝統は佐藤龍によって守られていたと言ってもいい。
開幕前の大遅刻で佐藤のパブリックイメージは失墜した。確かに、彼の犯したミスは決して小さいものではない。ただ、佐藤がひたすらに練習に励み、自分の居場所を確保するために努力を続けていたことは見逃すべきではない。
今季も、入れ替わり立ち替わり同ポジションのライバルが一軍に昇格していく中、トレード前日までファームの首位打者の座を守り続けた。そのことも、彼が腐らず努力を怠らなかった証左だろう。
噂ほど悪いヤツじゃない。新天地で反撃を。イースタンリーグ首位打者の実力を見せつけてほしいものだ。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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「もともとプロ1年目は試合後の練習はやっていたんですけど、いつしかやらなくなっていました。なかなか1年目の成績を超えられていなくて、何が足りないんだろうと思った時に1年目は何をしてただろうと思ったら、試合後はいつも室内でバッティングしていたなって思い出したんですよね。当時は山川さんや栗山(巧)さん、レギュラーで試合に出ている方が試合後もバリバリ練習していて、そこに影響されていました。成績が上がらないのは練習量が足りないのかと思って、23年シーズンは騙されたと思ってもう一度、やってみようと思って1年間やり続けたんです」
そうした姿勢が当時の首脳陣には響き、いつかチャンスをやりたいという思いにつながった。怪我人が続出し、山川が私生活上の問題で離脱したこともあり、出場機会が増えていくと、徐々に結果もついてくるようになった。
7月は11試合に出場して打率.346。出塁率は4割を遥かに超え、OPSは1.084を叩き出した。アピールに成功すると、そのままレギュラーに定着。最終的に91試合で打率.263、3本塁打、出塁率.390を記録した。
その年、佐藤は最後まで試合後の練習をやり遂げた。レギュラーとして試合に出るとそれで満足してしまいそうだが、あの時の佐藤は止まらなかった。試合後の練習に手応えも得ていたからだ。 当時の佐藤は次のように語っている。
「今年からボールの見え方が特に変わったりしたとかそういうことはまったくないんです。本当に打つべき球を打ちに行けて、そして、打たなくていいボールを捨てられていたと思う。シーズンに入ってから好不調の波を作らないように自分の中でしっかり練習時間を確保してやってきたんで、 それが終盤に生きたと思います」
すでに書いたように、シーズン当初の佐藤はレギュラーではなかった。一軍にいるからといって、レギュラー陣と同じ時間に帰宅していたら、差は開く一方だっただろう。試合での活動量が少ない分を練習量で補う。それを貫き通すことで、佐藤のパフォーマンスは着実に上がったのだ。
24年シーズンも、体力面でケアしないといけない時期はしっかり休んだが、それ以外は怠ることはなく練習を続けた。そんな佐藤の姿勢を、西川愛也や滝澤夏央も見習っていた。昨季はチームにとってどん底のシーズンだったが、試合後も練習に汗を流すという西武の伝統は佐藤龍によって守られていたと言ってもいい。
開幕前の大遅刻で佐藤のパブリックイメージは失墜した。確かに、彼の犯したミスは決して小さいものではない。ただ、佐藤がひたすらに練習に励み、自分の居場所を確保するために努力を続けていたことは見逃すべきではない。
今季も、入れ替わり立ち替わり同ポジションのライバルが一軍に昇格していく中、トレード前日までファームの首位打者の座を守り続けた。そのことも、彼が腐らず努力を怠らなかった証左だろう。
噂ほど悪いヤツじゃない。新天地で反撃を。イースタンリーグ首位打者の実力を見せつけてほしいものだ。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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