「（捕手の）古賀（悠斗）も素晴らしかったし、山田の牽制も完璧だった。実際、僕はベースに入るのが少し遅くなってしまって、危く失敗するところだったんだけど、これもチームとしての取り組みが成功した結果だと思う」

　もう一つ、印象的な場面があった。佐藤輝を刺した際にも代名詞のガッツポーズを見せたネビンだが、その直後、大山悠輔のゴロをショートの源田壮亮が華麗にさばき、無得点で切り抜けた時にも力強く拳を振り上げていた。他の試合でも、味方の好プレーやチームの得点時に喜びを爆発させる場面が何度となくあり、それもファンの支持を集める要因になっている。

「もちろん、（ガッツポーズをしようと）あらかじめ決めているわけじゃない。ファンのエネルギーが伝わっている部分もあるし、チームメイトが成功したこともうれしい。彼らが毎日、懸命に努力していることを知っているからね」

　交流戦終了直後、球団はネビンと新たに２年の延長契約を結んだことを発表した。来日１年目の助っ人選手が６月に新たな契約を交わすのは異例と言っていい。 「そうだね、（球団から）最初に話があったのは数週間前かな（注：取材日は６月26日）。そこから何度かやり取りしながら進めていった。ただ、この話が残りのシーズンずっとひきずってしまうのは避けたかった。何よりも大事なのは目の前のシーズンだからね。その点はお互い一致していた。代理人や家族も球団の提案をすごく喜んでいたし、結果的にお互いにとって最高の形になったと思う」

「チームが僕のことを信頼してくれたことが本当にうれしい。すごく責任を感じるし、名誉なことだと思っている。向こう２年間もチームの信頼に応えられるよう努力したいと思っているよ」

　ところで、自分が生まれる前に発表された『California Love』を登場曲に選んだ理由は？　何となく答えは想像できたが、あえて聞いてみた。

「日本に来て、改めて自分の故郷をアピールするのもいいと思ってさ。カリフォルニアの素晴らしさを称える歌でもあるし、登場曲としてぴったりだと思ったんだ」

　勝負強い打撃と熱いハートで、瞬く間にチームに不可欠な存在となったネビン。故郷の誇りを胸に、今日も勝利に貢献するべくフィールドに立つ。

文●久保田市郎（SLUGGER編集長）

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