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プロ野球

熱いガッツポーズは「努力している仲間の成功を喜ぶため」異例の早さで延長契約を勝ち取った西武の新助っ人ネビンの魅力<SLUGGER>

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2025.07.02

勝負強い打撃だけでなく、常に全力を尽くすプレースタイルでもチームを鼓舞するネビン。早くも2年の延長契約を手にした。写真:産経新聞社

勝負強い打撃だけでなく、常に全力を尽くすプレースタイルでもチームを鼓舞するネビン。早くも2年の延長契約を手にした。写真:産経新聞社

 ベルーナドームに2Pacの名曲『California Love』が鳴りび響くと、球場の雰囲気が変わる。それはタイラー・ネビンが打席に入り、ライオンズに得点が入る可能性が高まっていることを伝える知らせだからだ。

【記事】メジャー昇格まで約6年、その後も「事実上の戦力外」4度...西武の優良助っ人ネビンは“苦労人系サラブレッド”<SLUGGER>

 開幕から打線の中軸に座り、無類の勝負強さを発揮。5月の月間MVPを受賞し、6月27日終了時点でチーム最多&リーグ3位の32打点を挙げている。

「これほど早く日本の野球にアジャストできた理由は何だと思いますか?」と尋ねると、意外なほど謙虚な答えが返ってきた。

「たくさんの助けを得られたことが大きい。コーチングスタッフやチームメイトが、僕が日本の野球に適応するのを助けてくれた。僕は毎日、出来る限り多くのことを学ぼうとしているだけ。だから、これは間違いなくチーム全体の努力の結果だね」

 1番の西川愛也が塁に出て、滝澤夏央が得点圏に進め、ネビンが還す――そんな得点パターンがすっかり定着した。ネビン自身、ラン・プロデューサー(得点を生み出す存在)としての役割をしっかり意識しているようだ。

「とにかく、どんな形でもいいから得点を挙げることを最優先に考えている。今は点が入りにくいリーグ環境だし、知っての通りうちの投手陣はすごく優秀だから、試合に勝つためにそれほど多くの点は必要ない。とにかくいいスウィングをしてラインドライブを打つことに集中している。投手の失投を絶対に見逃さないようにね」
 意外、と言っては失礼かもしれないが、守備でも健闘している。メジャーでは三塁や外野の両翼もこなしていたが、日本では一塁に定着。軽快な身のこなしと堅実なグラブさばきで投手陣を盛り立てている。

 勝負強い打撃、守備や走塁でも常に全力を尽くす姿勢、そして気持ちを前面に押し出すプレースタイル――6月12日の阪神戦は、そんなネビンの魅力が凝縮されたような一戦だった。

 初回の第1打席では、内角球に詰まりながらもセンター前に落とすしぶい同点タイムリー。4対1で迎えた7回、1死満塁のピンチでは会心の好プレーの一角を担った。満塁ということでネビンは当初、一塁ベースから離れた位置にいた。それを受けて、一塁走者の佐藤輝明がリードを広げると、ネビンがスルスルと一塁に入る。そこで投手の山田陽翔から絶妙なタイミングで牽制球が入り、佐藤輝はタッチアウト。窮地を脱したライオンズは、セ・リーグ首位の阪神相手にスイープを完成させたのだった。

「キャンプでも練習していたし、(阪神戦の)前にも成功させたことがあった。アメリカでは......どうだろう、経験はあると思うけど、少なくともこれほど短期間で2回成功させたことはないし、誇りに思うよ」と話したネビンは、ここでも周囲への称賛を忘れなかった。
 
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