専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

「正直、ずっと苦しかった」「いい形で終われたのは自信になった」今永昇太と鈴木誠也、ポストシーズンまで戦い抜いた者だからこその“総括”<SLUGGER>

ナガオ勝司

2025.10.21


 奪三振率が落ち、速球とスプリットのピッチング・バリューと呼ばれる数値が落ちたのは、以前のコラムでも書いた。それに加えて今季は体力的な問題もあった、と今永は言う。

「シーズン162試合と、ポストシーズンを全部勝ったとしたら、プラス20試合、ワールドリシリーズまであると考えたら、そこの体力が足りてないっていうのは痛感している。他のメジャーの選手って、9月とか10月とか目の色が違う。そういうメジャーリーガーの本気に敵わなかったのがこの9月、10月。それが学びですし、このメジャーリーガーに勝つためには、何をしなければいけないのかってのを、今日の帰り道から考える必要がある」

 かつてのノーラン・ライアンや斎藤隆のように、年齢を重ねてからより洗練された投手になって球速を維持、もしくは向上させた投手はいる。ダルビッシュ有(パドレス))のように、何度もサイ・ヤング賞候補になりながら、自分が今、持っている常識を疑いながら「昨日の自分」より良くなると思えば、どんどん、新しいことにチャレンジして成功している人もいる。

 そして今永にも、きっとそうなる資質はある。

「正直、一年間ずっと苦しかった、何も見つからないまま終わった。防御率とか勝ち星とか含めて、数字ほど内容は全然良くない。選手としてはダメだった。でも、自分の人格までがダメになったわけじゃないんで、もう一度いい選手になるために、こういう苦しい時が誰かに見られてますしね。ここで何をするのかが人間としては大事なので、投げ出さずに、逃げずに立ち向かっていこうと思う」
 ポストシーズンという名のお祭りは終わり、その熱気は一瞬にして消え失せた。5年ぶりのポストシーズンを闘い終えたばかりのカブスたちが、お互いに別れを告げる中、今永は今後の予定の中に、とある練習場へ行くことを明かした。一方、鈴木もさほど気負った様子はなく、こう言うのである。

「明日? 荷物整理もあるんで球場には行きますけど、ちょっとトレーニングもやっときたいっすね」

 まあ、これですべて終わったわけじゃないから、と励まされているような気がした。考えてみれば、鈴木も今永もプロのアスリートなのだ。敗戦に打ちのめされても、不調に苛まれても、いつも立ち直ってくる。調子の善し悪しは彼らが作る物語の一部であり、ハッピー・エンディングのためのお膳立てに過ぎないのだろう。

 今はただ、彼らがシーズンを戦い終えたことを、心の底から称えるのみ。最後まで諦めず、それぞれの立ち位置で闘い続けた両雄に、拍手を送るのみである。

文●ナガオ勝司

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO

【記事】松井秀喜氏を抜く32本塁打で“シン・ゴジラ”へ――「野球人生最悪」の不振を乗り越えて鈴木誠也が勝ち取った勲章<SLUGGER>

【記事】「心の内側で自分を許す気持ちがあっていい」カブス今永昇太が『ハリー・ポッター』から学んだ“米国式マインドセット”<SLUGGER>

 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号

  • soccer_digest

    1月13日(火)発売

    定価:980円 (税込)
  • world_soccer_digest

    1月5日(月)発売

    定価:890円 (税込)
  • smash

    12月19日(金)発売

    定価:800円 (税込)
  • dunkshot

    12月24日(水)発売

    定価:1100円 (税込)
  • slugger

    11月25日(火)発売

    定価:1100円 (税込)