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MLB

サイン盗みのベルトラン、DV問題を起こしたK-RODとビスケルをどう評価するべきか――「人間性」が重視される時代の殿堂入り投票<SLUGGER>

ナガオ勝司

2026.01.21

 結果的に今年の投票はルール上、許されている10人ではなく、ベルトランへの投票を白紙撤回するという意味で、9人のみに投票した。殿堂入りに値すると思って投票したのは、元楽天のアンドリュー・ジョーンズと、ボビー・アブレイユ元両外野手のみである。

 ジョーンズは中堅手として通算10度のゴールドグラブ獲得に加え、キャリア最初の10年間で319本塁打(通算434本塁打)、fWARではボンズとA-RODに次ぐ3位と、PED全盛期にクリーンなイメージで乗り切ったトップクラスの選手だった。膝の故障で30歳以降のキャリアは落ち込んだものの、全盛期のパフォーマンスだけでも殿堂入りに十分と判断した。

 ジョーンズ同様、アブレイユもステロイド全盛時にクリーンなイメージでプレーした選手だ。MVPや打撃タイトルとは無縁で、通算2度のオールスター選出、1度のゴールドグラブ賞、シルバースラッガー賞獲得と派手な受賞歴もない。しかし、8年連続でシーズン100四球以上を記録し、通算200本塁打(288本塁打)・1200四球(1476四球)・400盗塁(400盗塁)を達成した歴代4人のうちの1人であるというユニークな事実が、投票に値するのではないかと思った。

 残りの7人=07年のナ・リーグMVPのジミー・ロリンズ内野手、通算6度のオールスター選出のチェイス・アトリー元内野手、通算9度のゴールドグラブ賞受賞のトリー・ハンター外野手、完全試合とノーヒッターを達成したマーク・バーリー投手、2008年のア・リーグMVPのダスティン・ペドロイア元内野手、通算7度のオールスター選出のデビッド・ライト元内野手は全員、殿堂入りすると思って投票したわけではない。
 
 通算成績その他は、殿堂入り選手のそれに遠く及ばないのに投票した理由は、「最多10人」に投票しても良いルールがあるから。殿堂入り投票で「認識されて然るべき存在」だと思って投票した。

 過去の殿堂入り選手の評伝などを読む限り、彼らのすべてが善人だとは言えないし、暴力事件や性的被害に遭った人々が自ら進んで声を上げるなど、アメリカ社会が大きく変わった現在では、人間的に殿堂に値しないと判断される選手もいるかもしれない。

 その影響は殿堂入り投票にはっきり出ており、我々のような外国人の投票者にも、野球選手を野球選手としてだけではなく、一人の人間として見よ、と首根っこをつかまれているような気がしてならない。

 だから、こういう懺悔をしてしまう羽目になるのだが、今回、ベルトラン(とジョーンズ)の殿堂入りが発表され、来年はサイン盗みのことをまったく考えず、投票できるようになったので、少しは肩の荷が降りたような気がする新春である――。

文●ナガオ勝司

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO

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