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プロ野球

ゼロからスタートした琉球ブルーオーシャンズが、巨人3軍とのオープニングゲームで示したポテンシャル

岩国誠

2020.03.08

「まずひとつここを目標にしてきたので、試合に勝ったことは良かったと思います」

 無観客とはなったものの、記念すべきオープニングゲームでの勝利に、清水監督は安堵の表情を浮かべた。

「日々の準備や意識の部分を選手たちに話していく中で、こういう試合で何ができるのか。自分がこういうプレーをしたいというものを持って、練習に取り組んでいるのか。そこがこの試合で結果として出たんじゃないかと思います」

 ゼロからスタートしたチームにとって、大きな1勝であることは間違いない。しかし、この勝利がゴールではないことは、指揮官を含め、選手たちも十分承知している。

「打ちたかったけど手が出なかった。自分の体が動かなかった。守備でも打球を捌けなかった。そういった部分も日頃の取り組みや姿勢がどうなのか。そこを改めて考えて欲しいと思います。日々取り組んでいることが間違っているんじゃないのかとか。そういうことに自分で気づければ、いいエラー、いいミスになると思っている。なんで試合に出れないのかとか、なんで交代させられたのかとか、今後彼らが気付いて、日々何をしていくのかを自分たちで考えられる。そういうことが必要になってくると思っています」

 チームの大きな目標はもちろんエクスパンション時のNPB参入だが、短期的目標として今季見据えているのは『所属選手のNPB球団に復帰』と『所属選手のドラフト指名』。入団後、すぐにNPB球団に順応できる選手を送り出し、その価値を高めていくことが将来的なNPB参入への一つの指針になると考えている。NPBで結果を残せるだけの力をつけていくために、選手個々がそれぞれの結果にどう向き合い、今後どう変化していくのか。
 
 そして、沖縄県民に広く愛されるような魅力ある球団作りにも注力し、地域からNPB入りへの機運を高めていく努力も続けていく。

 すでに、各沖縄TV局での番組出演やラジオ番組への選手出演など、地元メディアへの露出も徐々に増えてきているほか、先月14日にストラテジックメディアパートナー契約を結んだ沖縄ローカルネットワーク(ocn)では、オープニングゲームの模様を3月1日に録画放送している。

 発表されていなかったオープニングゲーム以降の試合日程も6日、一般社団法人 日本独立リーグ野球機構に賛助会員としての加盟が承認されたことを受け、アマチュア(大学・社会人)との試合実施が可能となった。新型コロナウィルス感染拡大の状況次第ではあるが、各所調整中である有料主催試合を含め、沖縄の野球ファンが直接、琉球の選手たちの成長を目できる日はそう遠くはないだろう。

 ゼロから始まった新球団。無観客からのスタートとなったが、選手たちはわずか一か月で巨人3軍に勝利し、ひとまず戦える集団としての可能性は見せた。目指すべき高みへ向け、沖縄の地で自らを研ぎ澄まし、できる準備を続けていく彼らが大衆の眼前に現れた時、その可能性がより大きなものへと膨らんでいるのか。琉球ブルーオーシャンズ、チャンスが訪れるその瞬間まで、引き続き注目していきたい。

取材・文●岩国誠(フリーライター)

【著者プロフィール】
いわくに・まこと/1973年生まれ。プロ野球のニュース番組制作に携わるTV映像ディレクター。一時は球団公式SNS用動画制作やパ・リーグTVでの制作・配信を担当。その縁からフリーライターとして、webメディアでのプロ野球記事の執筆を始める。また、舞台俳優としての経験を生かして、野球イベントなどの運営や進行役など、幅広い活動を行っている。
 

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