●渡部健人(桐蔭横浜大/内野手)
175㎝・113㎏、右投右打、神奈川県出身、日本ウェルネス高(東京)
「ドカベン(作・水島新司の人気野球漫画)」の主人公・山田太郎が、バッターボックスに立っているのかと見間違えるほど、似たような体型をしている。
好球がくれば、一振りでスタンドまで運ぶ注目のホームラン打者。漫画と違うのは、一、三塁手、遊撃手としてもフットワークよく守れるということだ。50m6.4秒と足もかなり速い。ふっくらとした体型は中村剛也、山川穂高選手(ともに西武)を彷彿とさせ、今や神奈川大学リーグの人気者だ。
小学1年時に、父親から柔道をするか、空手をするか、どちらかを決めるように強く薦められたが、「どうしても野球がやりたい」と泣いて懇願。やっと野球を始められたのが小学1年の時だ。中学時代は、強豪クラブの中本牧シニア(横浜)に所属し、3年時に北海道で開かれた「第4回リトリシニア林和男旗杯国際大会」は4番遊撃手で4強入りに貢献した。
高校は横浜商大高に進むも、家庭の事情で東京の通信制、日本ウェルネス高に転校。高野連規定により1年間は試合に出られなかったものの、1、3年時に本塁打計25本を放った。卒業時にプロ志望届を出すも指名漏れし、桐蔭大に進んだ。
同大では2年春の神奈川工科大戦で、横浜スタジアムのバックスクリーン、コカコーラの看板直撃の3ランを放ち、スタンドを驚愕させた。「アウトコース低目の変化球でした。泳がされたのでセンターフライかと思ったけど、打球がそのまま伸びて行きました」と、当時の様子をパワーヒッターらしく語る。
ベンチプレス130㎏、スクワット180㎏、デッドリフト170㎏と怪力の持ち主だ。
ふっくらとした体形については「もともと同年代では大きい方でしたが、中学2年頃から本格的に太りだしました。特に動きには影響がないし、走ってもきついなぁ、と感じたこともありません。ホームランを打ててチームを勝たせる山川選手のようになりたいです」。大学通算成績は60試合で打率.293。本塁打10本、二塁打13本で長打率.502。昨春はベスト9に選ばれている。
齊籐博久監督は、どう見ているのだろうか。
「ああいう体ですから、大きいのを飛ばす能力はあります。見た感じとは違い、足もあるので動ける。グラブさばきも上手いし、守れます。昨年調子を落とし、打てない時は、相当考え込んでいましたが、もともと技術はあるので私からは、あまり言わないようにしています。他のことは考えるな、プロに行きたいなら自分のことだけ考えろ。打率を残すよりもロングを打て、と。ミスショットを無くし、打撃がよければチームの勝利にもつながってきますから。優しい子で真面目過ぎるし、天狗にはならない選手なので安心しています」
日本ハム・大渕隆スカウトは「高校時代から見ているが長打力には、いいものがある。打撃優先のパンチ力のある内野手ですね。守備も破綻なく着実にこなす。それ以上に、ああいう選手が一人いるとチームが明るくなります。皆を元気づけてくれるようなキャラの持主でしょう」と見ている。
今は新型コロナウイルスのため、練習は中止。「特にストレスはないけど、早く野球がしたい」と語るスラッガーは、近くの公園でダッシュとロングジョグで走り込み、素振りをしながら体幹を鍛えている。
文●大友良行
【著者プロフィール】
おおとも・よしゆき/元大手新聞社の報道写真記者。事件事故取材の傍らメジャーリーグやサッカーW杯などの欧州サッカーを取材。現在は、全国の大学野球、春夏の甲子園をはじめとする高校野球、都市対抗を中心に社会人野球などを深く取材している。著書に「野球監督の仕事(共著・成美堂出版)」、「CMタイムの逆襲(東急エージェンシー)」などがある。
175㎝・113㎏、右投右打、神奈川県出身、日本ウェルネス高(東京)
「ドカベン(作・水島新司の人気野球漫画)」の主人公・山田太郎が、バッターボックスに立っているのかと見間違えるほど、似たような体型をしている。
好球がくれば、一振りでスタンドまで運ぶ注目のホームラン打者。漫画と違うのは、一、三塁手、遊撃手としてもフットワークよく守れるということだ。50m6.4秒と足もかなり速い。ふっくらとした体型は中村剛也、山川穂高選手(ともに西武)を彷彿とさせ、今や神奈川大学リーグの人気者だ。
小学1年時に、父親から柔道をするか、空手をするか、どちらかを決めるように強く薦められたが、「どうしても野球がやりたい」と泣いて懇願。やっと野球を始められたのが小学1年の時だ。中学時代は、強豪クラブの中本牧シニア(横浜)に所属し、3年時に北海道で開かれた「第4回リトリシニア林和男旗杯国際大会」は4番遊撃手で4強入りに貢献した。
高校は横浜商大高に進むも、家庭の事情で東京の通信制、日本ウェルネス高に転校。高野連規定により1年間は試合に出られなかったものの、1、3年時に本塁打計25本を放った。卒業時にプロ志望届を出すも指名漏れし、桐蔭大に進んだ。
同大では2年春の神奈川工科大戦で、横浜スタジアムのバックスクリーン、コカコーラの看板直撃の3ランを放ち、スタンドを驚愕させた。「アウトコース低目の変化球でした。泳がされたのでセンターフライかと思ったけど、打球がそのまま伸びて行きました」と、当時の様子をパワーヒッターらしく語る。
ベンチプレス130㎏、スクワット180㎏、デッドリフト170㎏と怪力の持ち主だ。
ふっくらとした体形については「もともと同年代では大きい方でしたが、中学2年頃から本格的に太りだしました。特に動きには影響がないし、走ってもきついなぁ、と感じたこともありません。ホームランを打ててチームを勝たせる山川選手のようになりたいです」。大学通算成績は60試合で打率.293。本塁打10本、二塁打13本で長打率.502。昨春はベスト9に選ばれている。
齊籐博久監督は、どう見ているのだろうか。
「ああいう体ですから、大きいのを飛ばす能力はあります。見た感じとは違い、足もあるので動ける。グラブさばきも上手いし、守れます。昨年調子を落とし、打てない時は、相当考え込んでいましたが、もともと技術はあるので私からは、あまり言わないようにしています。他のことは考えるな、プロに行きたいなら自分のことだけ考えろ。打率を残すよりもロングを打て、と。ミスショットを無くし、打撃がよければチームの勝利にもつながってきますから。優しい子で真面目過ぎるし、天狗にはならない選手なので安心しています」
日本ハム・大渕隆スカウトは「高校時代から見ているが長打力には、いいものがある。打撃優先のパンチ力のある内野手ですね。守備も破綻なく着実にこなす。それ以上に、ああいう選手が一人いるとチームが明るくなります。皆を元気づけてくれるようなキャラの持主でしょう」と見ている。
今は新型コロナウイルスのため、練習は中止。「特にストレスはないけど、早く野球がしたい」と語るスラッガーは、近くの公園でダッシュとロングジョグで走り込み、素振りをしながら体幹を鍛えている。
文●大友良行
【著者プロフィール】
おおとも・よしゆき/元大手新聞社の報道写真記者。事件事故取材の傍らメジャーリーグやサッカーW杯などの欧州サッカーを取材。現在は、全国の大学野球、春夏の甲子園をはじめとする高校野球、都市対抗を中心に社会人野球などを深く取材している。著書に「野球監督の仕事(共著・成美堂出版)」、「CMタイムの逆襲(東急エージェンシー)」などがある。