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高校野球

【夏の甲子園中止から考える高校野球のこれから│後編】 甲子園中止がドラフトに与える影響は? 高校野球改革へ向けての提言

SLUGGER編集部

2020.06.01

氏原 僕は若い人が新しい発想でいろいろやっていくことが重要だと思います。でも、高野連の中にはまず若い人は入れない。ならば、まったく別の新しい組織を作った方がいい。そして、高野連と共存していく形がベストではないかと。

 今の高校野球の一番の問題点は、「体育」と「スポーツ」が混在していることなんです。「肩が壊れても最後まで投げ抜く」みたいな「体育」の考え方と、「もっと先のことを考えて、球数制限を導入しよう」という「スポーツ」の考え方がごっちゃになっているのが良くない。それならむしろ「体育」の考え方を掲げる団体と、「スポーツ」の考えを掲げる団体に分離した上で、「夏の大会は合同で行う」という形にした方がいい。

「肩やヒジが壊れてもいいからやりたい」っていう選手は「体育」の団体に行けばいいし、「将来を大事にした上で甲子園にも出たい」のであれば、「スポーツ」の団体でプレーすればいい。新しい団体を作って球児がそれぞれの方向に合ったところへ行けるようにして、高野連と喧嘩するのではなく共存していく形ができたらいいと思います。
 
 高野連の目的は高校野球界をより良くすることじゃなく、今までの歴史を守ることにある。だから「球数制限はこれまでやったことがない」という理由で排斥しようとする。その体質はこれからも変わりようがないので、むしろ新しい団体を作った方がいいと僕は思います。絶対にこちらの方が面白いし、野球界も発展するはずです。

――従来とは別の形で何とか夏の甲子園をできなかったかということを考えた時に、たとえば「昨年の秋季大会で何回戦以上に進出した高校に限って」というような形での開催はできなかったんでしょうか? 

西尾 その案は原辰徳監督(巨人)のトライアウト案に近いかもしれませんね。いわゆるプロを多数輩出する名門校に限って大会をするわけですから。

 でも、「甲子園に行ける」と思ってやっている子は実際にはほんの一握りで、大多数は「行けたらいいな」くらいですよね。おそらく無理だろうなと思いつつも、甲子園を目指して頑張ることが尊い。地方大会で敗退して泣く子は「負けて悔しい」というより「もうこれで終わってしまうから寂しい」という理由の方が多いと思います。そういう意味で、一番きれいな形で追われるのが夏の大会だという背景もあるので……。
 
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