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プロ野球

お股ニキが語る『マネー・ボール』の真実【本人直撃インタビューVol.3】

2019.09.22

――本のタイトルは最初から決まっていたのですか? かなり挑戦的だと思いましたが。

 候補はいろいろありました。タイトルだけ見るとデータ批判の本に見えますが、実際はそうではない。編集の方が5個くらい候補を出してくれて、最後まで悩みました。個人的には無難に「お股の野球論」とか「お股の野球バイブル」でもいいかなって。ただ、出版社的には過激なほうがいいっていうのはあったんじゃないかな、内容とは微妙に噛み合わないけど(笑)。担当の方にはこのタイトルを推されていたのですが、やっぱりどうかなとは思って、1週間くらい考えさせてほしいと。最終的には、担当の方が「自分の中ではマネー・ボールを超えてます!」って言われて決断しました。
――単刀直入に聞きます。ご自身は「『マネー・ボール』を超えた」と思っていますか?

 ジャンルが違うと思うので、超える・超えないの話ではないかな。『マネー・ボール』もすでに当たり前の理論として定着していて、その再構築の段階ですよね。例えば、守備は大事じゃないと言っていたけれど、今ではやっぱり大事ってなってるじゃないですか。それって『マネー・ボール』の前から言われていたことで、実はそちらが正しかったってなったら、修正をかけていけばいいわけで。

 あと、「得点圏打率は運」ってありますけど、やっぱり打点を稼ぐ能力ってあると思うんですよ。「中田翔は大したことがない、状況に恵まれているから打点が多いだけ」という人がいますけど、じゃあ他の選手が代わりに立ったら誰でも100打点を稼げると思いますか? 中田は悪いなりにもゴロを打ったり、最低限のことができる選手なんですよね。それに好調時には爆発力があるし、栗山(英樹)監督が4番は大谷翔平ではなく中田と言っていたのも、よく分かるんです。精神的に強い・弱いの話だけでなく、それは技術的な面もあって。例えば、ランナーが出たら投手はクイックで投げてくるので、それに対応しなければならない。ギアも上げてくるし、配球も変わるので読みも大事です。運と言われますけど、柳田悠岐選手(ソフトバンク)や坂本勇人選手(巨人)は毎年、得点圏打率も高いじゃないですか。それは、彼らの能力が優れているからですよね。

「投手のギアチェンジもない」と言う人がいますけど、ありますからね。菅野智之投手(巨人)も調子のいい時は抑え目にいって、ピンチの時に出力を上げる。だけど、年を取ると力が落ちるから、走者がいない時もちゃんと投げないといけなくなるわけで。キャリア全体や一軍半の投手、クイックが悪い投手などもすべて含めてならしたら、(ギアチェンジは)ないように見えてしまうだけであって。
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