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プロ野球

【氏原英明の本音で勝負!】アメリカでの12年の経験は日本の宝となるはず。田澤純一の財産を無駄にするな!

氏原英明

2020.11.02

「メジャーは、例えば4番から起用するという時は1番打者の時に電話がかかってくる。4番のところで起用するから、そこに合わせてくれと。それくらいで調整しなければいけない。最初はきついと思ったけど、慣れてくればできるもんなんですよ」

 日本ハム、ソフトバンク、そして、現在はロッテコーチを務める吉井理人氏もブルペンの調整機会を制限した。日本ハム時代には「3度作ったら登板なし」など厳しく規定。今季もロッテで投手陣を上手にマネジメントして優勝争いを演じている。

 日本でこれまで当たり前とされてきた思考から少し離れてみることで、新たな発見が生まれる。異国を経験してきた選手の経験・知識は野球界にとって財産そのものである。

 田澤とてしかり。彼のアメリカでの12年の経験は、日本の宝となるはずなのだ。
 
 今年3月、レッズを解雇される直前に話を聞かせてもらった時、田澤は日本の未来へ次のようなメッセージを送ってくれた。
 
「日本の選手たちの多くがシーズンオフなどにアメリカに来てトレーニングをしていますよね。それはつまり、アメリカがやっていることを認めているということだと思うんです。トレーニングは、どうやって選手が上達するかを考えてメニューが作られている。いいところは認めて吸収しつつ、日本は日本でいいところがあるわけですから、それが世界に通じるものにできたらいいんじゃないでしょうか。お互いのいいところを認め合うことが大事なんじゃないかなと思います」

 新型コロナウイルスの脅威がまだ収まらない中、田澤はまた日本を離れなければならなくなった。彼が自身のキャリアをいい形でやり切って欲しいと願うばかりだが、その想いと同じくらいにこうも思うのだ。

 田澤純一が海外生活で得た大きな財産を日本から切り離してはならない――。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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