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「スズキはメジャー全体でも上位に入る強打者だ」カブスの事前分析を遥かに超える適応力を見せた鈴木誠也の開幕1か月【現地発】<SLUGGER>

ゴードン・ウィッテンマイヤー

2022.04.30

 周囲とのコミュニケーションのなかには、スプリング・トレーニング序盤にジャンクフードを食べるロス監督をからかったり、入団交渉でシカゴの天気図を見せた際に、4月の気温が華氏40度(摂氏4度)以下になることについて何の説明もしなかったホイヤー編成総責任者を弄ったりすることも含まれる。

 ホイヤー編成総責任者は本当に天気図を見せた時に4月のシカゴの寒さについて説明しなかったのだろうか?

「イエス」

 鈴木は笑いながら英語で答えた。

「いつも通訳を通じてしか話ができないのは、そのうち負担になるかもしれない」と危惧するロス監督だが、「だが、その気になれば、彼とはいつでもコミュニケーションを取ることができる」と自信を見せる。

 しかも、鈴木は快活で熱心に応じてくれる、とロス監督は言う。

「ちょうどいいくらいのリスペクトと、素晴らしいユーモアのセンスでね」
 ホイヤー編成総責任者いわく、鈴木はフィールド内外であらゆる期待を超えている。

「アメリカの投手への適応や外国で暮らす困難、言葉の壁、その中で毎日試合に出なければならないという困難を経験することは覚悟していた」と語るホイヤー編成総責任者は、「ここまでの働きは本当に見事だ」と称える

 だが、ホイヤー社長はこう付け加えた。「もちろん、長いシーズンだから山あり谷ありになるのは間違いない」

 大事なことはパワーや四球だけではない。流れるようなフィールディングや、世界最高の投手たちへの即座の適応だけでもない、とホイヤー編成総責任者は語る。

「社交的でひょうきんなチームメイトとしてチームに溶け込んでいることが本当に素晴らしい。英語がセカンドランゲージであることを考えれば、本当に信じられないことだよ。チームの全員が彼のことを大好きなんだ」

「今後、困難に直面することもあるだろう。でも、ここまでは本当に見ていて楽しいね」

文●ゴードン・ウィッテンマイヤー

著者プロフィール:ビートライター歴24年、BBWAA(全米野球記者協会)の会員でもあるベテラン記者。マリナーズ、エンジェルス、ツインズの番記者を務めた後、『シカゴ・サン・タイムズ』紙で14年間カブスを担当し、20年に『NBCスポーツシカゴ』へ活躍の場を移した。
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