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MLB

吉田正尚はあえて単年契約を選ぶべき? ポスティングでMLB移籍をする日本人選手に伝えたい「成功への道」<SLUGGER>

ナガオ勝司

2022.11.24

 短期契約のメリットは他にもあって、青木のように日本人が生活しやすい西地区の球団ではなく、ブルワーズやロイヤルズなど中西部の球団で比較的安い年俸で数年プレーし、確固たる結果を残してからジャイアンツやマリナーズなど西海岸のチームでプレーすることも可能になる(当時のポスティング制度が現行と同じルールで、ブルワーズと単年契約していたなら、青木はもっと早く西海岸の球団と高額の複数年契約を交わしていたかも知れない)。

 当時のブルワーズは決して弱いチームではなかったが、「控え外野手」として獲得された感のある青木が、「定位置」を獲得できたのは、当時のチームにそのチャンスを感じさせる「穴」みたいなものがあったからだ。青木の代理人(後に大谷翔平の代理人となるネズ・バレロ氏)は当時の理不尽なポスティング制度下で、「ブルワーズでなら活躍できる」と判断して成功につなげたとも言える。

 代理人なら、既存戦力の成績や選手の出場機会、あるいは入団の経緯(日本と同じように、ドラフト1巡目指名で入団した選手はマイナーにいても厚遇される傾向にある)などは知っていて当然であり、任せておけばいい。だが、自分の運命を他人に委ねるリスクは常にあるわけで、独自に情報を集めておくことにデメリットはないし、単純に「自分はどれぐらいチャンスがあるのだろう?」というのは考えておくべきことだ。
 吉田は昨年まで2年連続で首位打者を獲得、21年の東京五輪では全試合「3番」で出場し、金メダル獲得に大きく貢献した選手だ。今季は打率.335、21本塁打、88打点で優勝に貢献したスラッガーへの期待は自ずと大きくなる。

 だからこそ、目の肥えた「メジャー通」の方々が見ても、「おお、いいチームに入ったじゃないか!」と思えるような球団に移籍できることを心から願うのである――。

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO
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