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トレバー・バウアーの投球哲学。なぜ彼は最新テクノロジーを駆使するのか【独占インタビュー】

スラッガー編集部

2019.12.05

――どれくらいの頻度で新しい球種を試すのかな?

TB (チームメイトの)コリー・クルーバーがスラーブで三振を取りまくるのをずっと見ていて、最初は「自分はとてもあんな球は投げられないけど、ストライクゾーンに投げれば空振りが取り放題じゃないか」と思っていた。でも、ようやく自分でスラーブを習得する方法を見出したんだ。

 チェンジアップも同じだ。カルロス・カラスコのスプリットチェンジが、いつも弱い当たりのファウルか、ゴロか空振りになるのを見てきた。あの球については何もかも分かっていた。スピンレートや回転軸、変化も含めてね。あとは実際に自分で投げる方法を覚えるだけだった。ただ単に「握りはこうで、こうやって投げるんだ」というだけじゃない。テクノロジーの力を借りて、自分で握り方も含めて球種をデザインしたんだ。その球種の構成要素や特徴を数値化さえできれば、たいていの場合はコピーできるね。
――10年後、「トレバー・バウアーは開拓者だった」と言われていると思う?

TB 多分それはないな。ただ、新しいことに挑んだおかげで、いろんな批判をされてきたのは確かだ。最初のドアを開けた人間はそうなるものさ。でも、僕の前にも違う形で銃弾を浴びた開拓者がいたはずなんだ。ティム・リンスカムはドラフト全体1位指名されるべきだったのに、小柄な右投手だったから、どう評価すべきか誰も分からなかった。才能が本物なのか、突然変異なのか誰も見当がつかなかったんだ。あんなに小さいのに100マイル近い速球とえげつない変化球を投げていたんだからね。彼のような投手を、それまで誰も見たことがなかった。体格のせいで、全体10位まで指名順位が落ちたんだ。2年後、彼とすごく似た体型の僕は全体3位で指名された。僕の前にバリアを破ってくれた人間がいる。僕もできるだけ多くのバリアを破りたいね。次の世代の子たちのために。

取材●ジェフ・ウィルソン/『フォートワース・スター・テレグラム』紙
翻訳●木村愛

【著者プロフィール】
Jeff Wilson:『フォートワース・スター・テレグラム』紙で10年以上にわたってレンジャーズのビートライターを務める。殿堂入り投票の資格も所有。妻と2人の子、2匹の犬と暮らす。


※本稿は『Slugger』2019年9月号より転載

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