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プロ野球

逸材を“最も多く”指名した球団はどこ? 「独自ランキング」で振り返る2021年のドラフト<2021百選>

西尾典文

2021.12.26

中日のブライトの指名はチーム事情を考えると納得のできるもの。もっとも、かなり粗削りでリスクも高い選手ではある。写真:滝川敏之

中日のブライトの指名はチーム事情を考えると納得のできるもの。もっとも、かなり粗削りでリスクも高い選手ではある。写真:滝川敏之

■ヤクルト:D+
 1位では東京六大学が誇る大型左腕の山下輝(法政大)を指名。188センチ、100キロという日本人離れした体格から投げ込むストレートは勢い十分で、これだけ大型ながら変化球も器用に操る。ただ、大学では故障などでフルに活躍したシーズンはないだけに、1年目は二軍で経験を積むところからスタートになりそうだ。

 3位の柴田大地(日本通運)、5位の竹山日向(享栄高)もストレートが魅力の右腕。前者は大学、社会人でまったく実績がないにもかかわらず、この順位で指名したところにポテンシャルの高さを感じる。一方の後者も故障で伸び悩んだが、最後の夏に見せた成長が支配下指名につながった。2位の丸山和郁(明治大)は抜群のスピードが光る外野手で、4位の小森航太郎(宇部工)はパンチ力が魅力のショート。特に丸山は若手外野手が少ないだけにチャンスは多そうだが、まずは故障を防ぐ身体づくりが大事だろう。

【ドラフト候補ランキング入りしていた選手】
1位:山下輝(10位)
2位:丸山和郁(44位)
5位:竹山日向(32位)

 
■中日:D
 6人中5人が野手と、巨人とは真逆の指名を見せた。1位のブライト健太(上武大)は4年春に突如として浮上してきた強打の外野手。捉えた時のパワーと運動能力の高さは魅力の一方、まだまだ攻守に粗さがあるだけに時間はかかりそうだ。2位の鵜飼航丞(駒沢大)も長打力には定評があるものの確実性はかなり低い。ドラフト候補ランキングの順位を見ても分かるように、上位指名するのはかなりリスクが高い2人と言えるだろう。

 そんななかで面白いのが、唯一の投手となった3位指名の石森大誠(火の国サラマンダーズ)だ。今年からスタートした九州アジアリーグでは抑えを務め、コンスタントに150キロ前後をマークするストレートと鋭く変化するスライダー、チェンジアップで三振の山を築いた。少しコントロールには不安が残るものの、ボール自体の力は抜群だけに早くから一軍のリリーフ陣に加わる可能性もあるだろう。

【ドラフト候補ランキング入りしていた選手】
1位:ブライト健太(33位)
2位:鵜飼航丞(46位)
3位:石森大誠(18位)


■楽天:D-
 投手に有力選手が多いと言われていた今年のドラフトで、あえて1位から3位まで野手を並べた。前評判の高かった選手をスルーしたため、必然的に評価も最も低いものとなった形だ。

 そんななかでも楽しみなのは、1位の吉野創士(昌平高)と2位の安田悠馬(愛知大)の2人。吉野は有薗直輝(千葉学芸高)と並んで高校球界を代表する右の強打者で、細身ながら遠くへ飛ばす力は申し分ない。上背に見合うだけの筋肉量がついてきた時のスケールアップに期待だ。一方、安田はこの秋に評価急騰。秋のリーグ戦では愛知二部リーグながらホームランを量産。130メートルを超える特大弾を多く放ち、その飛距離は圧倒的なものがある。プロでも捕手として勝負するかは微妙なところだが、地肩の強さも魅力だ。

 3位以下の前田銀治(三島南高)、松井友飛(金沢学院大)、泰勝利(神村学園高)も典型的な未完の大器で、現時点ではやはり高い評価をするのは難しい。かなり実験的なドラフトであり、現時点では最低評価となった。果たして、これがどのような結果を生むのかという点は非常に楽しみである。

【ドラフト候補ランキング入りしていた選手】
1位:吉野創士(23位)
2位:安田悠馬(50位)


文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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