NBAにおいて、史上最高の選手を意味する“GOAT（Greatest Of All Time）”の筆頭候補に挙がるのは、マイケル・ジョーダン（元シカゴ・ブルズほか）とレブロン・ジェームズ（ロサンゼルス・レイカーズ）の２人。６度の優勝＆ファイナルMVP、10度の得点王など輝かしい実績を残したジョーダン、４度の優勝＆ファイナルMVP、通算得点で歴代トップのレブロンは、どちらもNBA史に名を残す一握りのスーパースターと言っていい。

　それでも、NBAでは約80年間の歴史で多くのスーパースターが誕生してきた。そのため、カリーム・アブドゥル・ジャバー（元レイカーズほか）やウィルト・チェンバレン（元サンフランシスコ・ウォリアーズほか）、マジック・ジョンソン（元レイカーズ）、コビー・ブライアント（元レイカーズ）を自身のGOATに挙げる者がいるのも事実だ。

　現地時間８月17日（日本時間18日）に公開された番組『Scorer’s Society』に、元NBA選手のジョシュ・パウエルがリモート出演。206cm・109kgのフォワードは、NBAキャリア７シーズンのうち２シーズンをレイカーズでプレーし、2009、10年に連覇を経験した。

　レイカーズで全盛期のコビーと２シーズン共闘したパウエルだが、GOATには元チームメイトではなく、レブロンを推していた。

「心の底から思っているのは、最終的にレブロン・ジェームズが１番ということだ。彼のような選手は見たことがない。これまで20年間もプレーした選手たちは、ただ単に（現役を続けて）スタッツを残しただけだ。

　そのリストには誰がいる？ジャマール（クロフォード／元ロサンゼルス・クリッパーズほか）やダーク（ノビツキー／元ダラス・マーベリックス）。KG（ケビン・ガーネット／元ミネソタ・ティンバーウルブズほか）が一番近かったと思うけど、晩年は平均９点くらいだったはずだ」
  　コビーは、37歳で迎えたキャリア20年目に平均17.6点、3.7リバウンド、2.8アシストをあげたが、相次ぐケガと加齢には勝てず、フィールドゴール成功率は35.8％に沈んだ。
　
　クロフォードは開幕からなかなか所属先が見つからず、シーズン終盤にブルックリン・ネッツと契約したが、わずか１試合の出場にとどまった。

　20年目以上では、ノビツキーとガーネット、ロバート・パリッシュ（元ボストン・セルティックスほか）、ケビン・ウィリス（元アトランタ・ホークスほか）が21シーズン現役を続けた。

　ただ、パリッシュとウィリスの現役最終年はローテーション外。ガーネットも38試合で平均3.2点、ノビツキーでも51試合で平均7.3点に過ぎなかった。また、22年間プレーしたヴィンス・カーター（元トロント・ラプターズほか）は、21シーズン目は76試合で平均7.4点をあげたものの、キャリアラストイヤーは同5.0点だった。

　そう考えると、パウエルが指摘した通り、レブロンが異常なスタッツを残していることは一目瞭然だ。昨年12月に40歳を迎えた“キング”は、22年目の昨季も70試合で平均24.4点、7.8リバウンド、8.2アシストの好成績を残し、オールスターとオールNBA２ndチームに選ばれている。

「一体どうやったらあれだけ長い時間、一貫して集中し続けられるんだ？やろうと思えばできるのかもしれないけど、彼がやっていることを気にしない人もいるんだ」とパウエルは舌を巻く。

　2003年のプロ入りから昨季まで毎年平均20点以上をマークしているレブロン。今季でNBA歴代最長の23シーズン目に臨む男が、“真のGOAT”になる日はそう遠くないだろう。

文●秋山裕之（フリーライター）

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