９月６日（日本時間７日）、2025年のバスケットボール殿堂入り式典が、マサチューセッツ州スプリングフィールドにあるシンフォニー・ホールで開催された。

　今年の目玉の１人、ドワイド・ハワード（元オーランド・マジックほか）は、選手部門、2008年北京オリンピックのアメリカ代表“リディームチーム”の２部門で殿堂入りを飾った。

　プレゼンターにはパトリック・ユーイングとロバート・パリッシュ、ドミニク・ウィルキンスの３名が登壇。そしてデニス・ロッドマンに代わってシャックことシャキール・オニールが会場に姿を現した。

　ハワードとシャックは、マジックのフランチャイズ史上屈指のビッグマン。ともに圧倒的なプレーでコートを支配する一方、ユーモアあふれるコメントやジョークでもファンを楽しませた。

　シャックは現役時代からメディアやソーシャルメディアを通じてハワードを口撃してきたが、これは期待の裏返しであり、マジックの“後輩”に最大限の力を発揮してもらうための手法だった。

　式典でハワードは、「僕たちはいつも、意見が合わなかったね。でも振り返ってみると、これは単なる兄弟間のライバル関係だったんだと信じているよ」とシャックに語りかけ、両者は笑顔を見せていた。

　208cm・120kgのハワードは、2004年のデビューから14シーズン連続で得点とリバウンドで平均ダブルダブルを記録し、キャリア18年間でリバウンド王に５度、ブロック王には２度輝いた。

　また、オールスターとオールNBAチームにそれぞれ８度、オールディフェンシブチームには５度選出、2008年から11年まで最優秀守備選手賞を３年連続で受賞している。
  　216cm・147kgのシャックは、圧倒的なパワーを武器にペイントエリアを制圧しただけでなく、その巨体に似合わぬクイックネスも兼備していた。

　キャリア19シーズンで優勝４度、ファイナルMVPに３度、シーズンMVPを１度獲得したほか、オールスターに15度、オールNBAチームに14度選出。2016年に殿堂入りし、2021年にはNBA75周年記念チームにも選ばれている。

　そうしたなか、ハワードはプレゼンターを務めたレジェンドをはじめ、ビル・ラッセル（元ボストン・セルティックス）や、現役時代に対戦したディケンベ・ムトンボ（元アトランタ・ホークスほか）へ感謝の言葉を述べた。

　さらに、カリーム・アブドゥル・ジャバー（元ロサンゼルス・レイカーズほか）についても次のように語りかけた。

「カリーム、あなたにはここにいてほしかったです。私のGOAT（Greatest Of All Time／史上最高の選手）ですから。あなたはNBAでふたつの殿堂入りキャリアを送った唯一の選手です。ルー・アルシンダー（旧名）とカリームです。私は新しい名前を自分につけて（NBAに）復帰し、皆さんと対戦するつもりです」

　ミルウォーキー・バックスとレイカーズで計６度の優勝、NBA史上最多６度のシーズンMVPを手にしたジャバーは、伝家の宝刀“スカイフック”を武器に、20シーズンで通算３万8387得点（NBA歴代２位）を積み上げた。

　1985年には史上最高齢となる38歳でファイナルMVPを受賞し、長きにわたってリーグの第一線でプレーを続けた男はハワードにとって憧れの存在であり、インスピレーションを与えているのだろう。

　ハワードにはまだ誰も成し遂げていない“殿堂入り後にNBA復帰”という野望がある。今年12月に40歳を迎える“スーパーマン”の動向に注目したい。

文●秋山裕之（フリーライター）

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