NBA

「彼がもういないなんて……」良きライバルだったコビーの死に、アイバーソンがインタビューで涙

ダンクシュート編集部

2020.02.22

アイバーソンがコビーと“共演”したのは、2008年にニューオリンズで開催されたオールスターの一度だけだった。(C)Getty Images

 ロサンゼルス・レイカーズで一時代を築き、NBAの歴史に数々の歴史を刻んできたコビー・ブライアントが、ヘリコプターの墜落事故で不慮の死を遂げてから間もなく1か月が経過する。2月24日(日本時間25日)にはロサンゼルスのステイプルズ・センターで追悼式が行なわれるが、いまだ世界中を覆った悲しみは晴れてない。現役時代にライバルだったアレン・アイバーソンは、『THE PLAYERS' TRIBUNE』のインタビューで盟友コビーについて言葉を紡ぐ最中、人目をはばからず涙を流した。

 アイバーソンは1996年のドラフト1巡目1位指名でフィラデルフィア・セブンティシクサーズ入り。同年、1巡目13位指名でシャーロット・ホーネッツに指名されたのち、レイカーズにトレードされたのがコビーだった。年齢はアイバーソンの方が3歳年上だったが、2人は良きライバルとして長きにわたってしのぎを削ることになる。アイバーソンがシーズンMVPに輝いた2000-01シーズンにはNBAファイナルで激突。当時はシャキール・オニールとの強力コンビを形成していたコビーに軍配が上がった。

 チームUSAでも同時期にプレーすることがなかった2人が、唯一同じチームで戦ったのが2007-08シーズンにニューオリンズで開催されたNBAオールスター(2006-07シーズンも2人とも選出されていたが、アイバーソンが故障のため欠場)。それも、コビーが指の靱帯を痛めていたため、夢の共演は試合開始からわずか3分間だけだった。アイバーソンは言葉を詰まらせ、顔を覆って涙を浮かべながら当時を振り返った。
 
「たぶん、俺がKob(コビー)とプレーする機会があったのは一度だけだった。どういう意味だか分かるかい? 俺と彼はいつも戦っていたんだ。そして、ようやく同じチームでプレーできた。振り返ってみると、それだけだった。まさか一度しか一緒にプレーできなかったなんてまったく知らなかった」

 コビーとの思い出を訊かれたアイバーソンは、プライベートで街に繰り出した際のエピソードを披露。それは、常にバスケットボールに全身全霊を捧げてきたコビーらしいものだった。

「彼と初めて遊びに出かけた時、LAで俺を食事に連れて行ってくれた。俺はクラブに行こうと言ったんだ。彼は何をするつもりか尋ねるから、クラブに行こうと。そしたら彼はジムに行こうと言った。それがアイツって男だよ。"ザ・マンバ"だ。知ってのとおり、彼は俺より若い。だけど俺は偉大な彼を見上げてきたんだ」

 アイバーソンにとってコビーは3歳年下に当たるが、それでも人生の後輩にリスペクトの念を抱き、切磋琢磨してきたという。

「俺が持っているコビーの記憶は、純粋に偉大だったということ。彼は常にタフな相手だった。彼が見せた『最高の選手になりたい』という姿勢は、俺ら他の選手全員を『もっと上手くなりたい』と鼓舞させたんだ。彼の名前を耳にするたびに心が痛む。彼がもういないなんてクレイジーだよ」

 2017年に3対3のプロバスケットボールリーグである『BIG3』が設立された際、「コビーとプレーするのが俺の夢だ」と語っていたアイバーソン。残念ながら、その夢は実現することなくライバルは人生に幕を閉じてしまったが、2人がこれまで紡いできた激闘の数々は後世に語り継がれていくに違いない。

構成●ダンクシュート編集部
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