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NBA

ファイナルでの大失態、そして突然の別れ…それでも“ニックスの象徴”と愛され続けるスタークス【NBA名脇役列伝・後編】

出野哲也

2020.03.04

スタークスの闘志を前面に押し出すプレーは、ニューヨーカーのハートを鷲掴みにした。(C)Getty Images

スタークスの闘志を前面に押し出すプレーは、ニューヨーカーのハートを鷲掴みにした。(C)Getty Images

 闘志あふれるプレーでニューヨーカーのお気に入りとなったジョン・スタークス。そんな彼のエネルギーが最高潮まで高まったのは、シカゴ・ブルズのマイケル・ジョーダンとのマッチアップ。奇しくもニューヨーク・ニックスでの最初の試合で、彼が対峠したのがジョーダンだったのだ。

「憧れの選手を相手にしても、緊張も怖さも感じなかった。それよりも興奮のほうが勝っていた。それに彼のプレーは何百回と見ていたから、予習はできていたんだ」

 1993年のイースタン・カンファレンス決勝第2戦で、スタークスはジョーダンとホーレス・グラントのブロックを越える会心のダンクを叩き込む。“ザ・ダンク”と呼ばれたこの一撃は、20年以上経った現在でもニューヨークのファンの間では語り草となっている。

「自分でも何度もリプレイを見たよ。何年経っても、みんな俺に会うとあのダンクの話をする。それほど記憶に残る特別なプレーだったのさ」
 
 翌シーズン、ジョーダンが突然引退を表明。優勝への最大の障壁が取り除かれ、ニックスは21年ぶりのカンファレンス制覇を果たす。ヒューストン・ロケッツとのファイナルでもスタークスは好調で、2戦目以降の5試合は平均21.0点、7.2アシスト、3ポイントも31本中14本を決めていた。

 王手をかけて迎えた第6戦の終盤で、逆転を狙って放った3ポイントが入っていたら、スタークスはニューヨークのヒーローとして永遠に語り継がれただろう。しかしそれは、アキーム・オラジュワンのブロックに阻まれてしまう。

 そして迎えた第7戦は、悪夢としか言いようがなかった。

 それまで高確率で沈めていた3ポイントを11本すべて外す大失態。フィールドゴールも18本中2本のみで8得点に終わり、敗退のA級戦犯となってしまった。

「あの試合のことは何度も思い返した。時計の針を巻き戻せるなら、もう一度最初からやり直したい。でも起きてしまったことは仕方がない。結果を受け止めて前に進むしかないんだ」

 パット・ライリー・ヘッドコーチの「ジョンがビッグショットを決め続けてきたから、我々はここまで来れたのだ」との慰めの言葉だけが、わずかな救いだった。
 
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