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「それは単に『エゴを捨てること』じゃない」逸材揃いのNBAで生き抜くために――ワトソンを飛躍に導いた学び<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2026.09.27

ナゲッツでの4年間、攻守ともに成長し新天地へ旅立ったワトソン。キャブズでのさらなる飛躍を誓う。(C)Getty Images

 この夏、サイン&トレードでデンバー・ナゲッツからクリーブランド・キャバリアーズへ移籍したペイトン・ワトソン。NBAキャリア5年目を迎える24歳にとって、今季は転機のシーズンとなる。

 高校時代はカリフォルニアNo.1プレーヤーとも呼ばれ、主要カレッジが争奪戦を繰り広げたワトソンは、地元UCLAで1年間プレーしたあとにドラフトにエントリー。1巡目30位でオクラホマシティ・サンダーから指名を受けると同時に、ナゲッツにトレードされた。

 そこで1年目にしてリーグ優勝を経験したが、即戦力というよりは成長を見越してのリクルートであったため、初年度はGリーグのグランドラピッズ・ゴールドでも研鑽を積んでいる。

 2年目、3年目と徐々にステップアップし、4年目の昨季は大きな飛躍を遂げた。1月のワシントン・ウィザーズ戦では、6本の3ポイントを含むキャリアハイの35得点をマーク。シーズンを通じて平均29.6分のプレータイムを与えられ、14.6点、4.9リバウンド、2.1アシストと、主要スタッツで軒並み自己ベストを更新した。

 2月にハムストリングを痛めて後半戦は欠場が続いたが、完治して迎える今季は新天地でのブレイクに意気込んでいる。

 そのワトソンが自身の成長に大きく影響したと語るのが、ナゲッツの先輩ニコラ・ヨキッチの存在だ。

「自分のバスケIQは、彼(ヨキッチ)と一緒にプレーすることで格段に向上した。どこに、どのタイミングでポジショニングすべきなのか、スーパースター級の選手とプレーする時には、その選手の強みを活かすためにどのようにプレーすべきなのか。才能ある選手にあふれたこのリーグで生き抜いていく上で、それはかけがえのない経験だった」
 
 アメリカのスポーツメディア『HEAVY』とのインタビューで、ワトソンはそう語っている。

「ボールが自分の手の中にない時でも、周りの選手たちといかに連携を取るのか、いかに彼らを効率よく活かせるか。そういったことを常に考えることがどれだけ大事かを学んだ。頭を使う部分に関しては、ヨキッチと一緒にプレーしたことでものすごく磨かれたと感じているよ。自分自身のバスケットボールへのアプローチの仕方が、総合的に良くなった」

 学生時代に脚光を浴び、「ボールは常に自分の手元に来るもの」と思って育ってきた選手にとってはなおさら貴重な学びだったと、ワトソンは自身の経験を振り返っている。

「それは単に『エゴを捨てること』じゃない。コートに立つ時は、常に『周りの人にとってもプラスになるような展開を考えて動くこと』を意識するんだ。そして、本来このスポーツがプレーされるべき方法でプレーすることだ」

 ナゲッツ入団当初、プレータイムが欲しかったワトソンは、ただひたすらに「コートに立ち続けるにはどうしたらいいのか」を考えていたという。そうして学んで行き着いたのが、スター選手を活かすプレーの仕方や、賢い周りの使い方だった。

 学生時代から長いウイングスパンを活かしたディフェンスに定評があったが、ロールプレーヤーとしてオフェンスの引き出しも増やし、昨季は3ポイント成功率も41.1%を記録。リーグ有数の3&Dプレーヤーになり得る資質を発揮した。何より、周囲から学ぶことで自分のプレーに磨きをかける姿勢は、これからも彼を成長させることだろう。

 ドノバン・ミッチェルやジェームズ・ハーデンとの共闘が待つ新シーズン、絶対的なスターターの地位の確保に、ワトソンは挑む。

文●小川由紀子

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