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ジョーダンも認めた実力者リッチモンド――サクラメントの“主役”としてファンに愛された殿堂入りプレーヤー【NBA名脇役列伝・後編】 <DUNKSHOOT>

出野哲也

2026.10.08

当初はキングスへの移籍を好まなかったリッチモンドだが、サクラメントのファンの期待に応えるべくエースとして奮闘した。(C)Getty Images

当初はキングスへの移籍を好まなかったリッチモンドだが、サクラメントのファンの期待に応えるべくエースとして奮闘した。(C)Getty Images

 わずか2年で“RUN-TMC”が解散し、失意のキングスへ移籍となったリッチモンドだが、その怒りや悲しみをエネルギーに変えて、彼はコート上で好成績を残し続ける。

「ティム(ハーダウェイ)やクリス(マリン)のような選手が周りにいなくて、相手が誰をマークすればいいかわかっている状態でプレーするのは楽じゃない」と嘆きながらも、コンスタントな活躍を披露した。

 移籍2年目の92-93シーズンにはオールスターに初出場。キングスからは実に12年ぶりの選出で、以降6年連続で球宴の舞台に立つと、さらに94年から5年連続でオールNBAチーム入りも果たした。

 当時リーグのナンバー1プレーヤーだったマイケル・ジョーダンは、最もディフェンスするのが難しい選手に、リッチモンドの名前を挙げていた。時が経つにつれ、リッチモンドもサクラメントの街やファンを愛するようになった。

「最初はキングスに行きたくなかったけど、満員のアリーナを見て気が変わった。つまらないことは気にせず、ただプレーに集中しようと決めたんだ」

 しかしなかなかチームは強くならず、リッチモンド自身も実力に見合う人気を得るには至らなかった。

「証人保護プログラムが適用されているのかと思えるほど知られていない」(『スポーティング・ニューズ』誌)状態で、本人も「トラッシュトークをするつもりはない。派手なダンクを連発するとか、商標登録もののムーブでも見せれば有名になれるかもしれないけどね」と、半ばあきらめていた。スニーカーのCMを撮影したこともあったが、それも結局お蔵入りになっている。
 
■サクラメントの“主役”が2014年7月に殿堂入り

 ようやく世間の注目を浴びたのは95年。同年のオールスターで13本中10本のシュートを決め、MVPを受賞したのだ。会見でリッチモンドは「サクラメントのファンのためにも受賞できて嬉しい」と、満面の笑みを浮かべてコメントしていた。

 さらに翌96年にはキングスを10年ぶりにプレーオフへ導き、同年夏にはアメリカ代表のメンバーとしてアトランタ五輪に参加。金メダルを獲得してソウル五輪の雪辱を果たすと、「それまで大嫌いだった」というカール・マローンとも仲良くなった。

 96-97シーズンには平均25.9点で自己ベストを更新。GMのジェリー・レノルズに「ミッチこそが“サクラメント・キング”だ」と言わしめた。

 ところが98年、若手スター候補生のクリス・ウェバーとの交換で、リッチモンドはワシントン・ウィザーズへトレードされる。ウェバーもまた、ネルソンの手によってウォリアーズから放出された過去を持っていたのは、不思議な因縁だった。

 サクラメントのファンは当初、このトレードに不満を唱えていたが、ウェバーはキングスで成長し、チームの新たなヒーローとなっていく。
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