NBA

ウォリアーズを高みに導いた「無私無欲」と「激情」のケミストリー。対照的なカリーとグリーンのリーダーシップとは?

秋山裕之

2020.05.18

グリーン(右)は、カリー(左)を「彼は信じられないくらい無私無欲」だと評した。(C)Getty Images

 今季はリーグワーストの15勝50敗(勝率23.1%)と低迷しているゴールデンステイト・ウォリアーズだが、スティーブ・カー・ヘッドコーチ(HC)が指揮官に就任した2014-15シーズンから昨季までの5シーズンは、驚異的な戦績を残してきた。

 5シーズン連続で57勝以上、15-16シーズンには73勝9敗でNBA歴代最多勝記録を塗り替える快挙。5シーズンすべてでウエスタン・カンファレンスを制してNBAファイナルへと勝ち進んだウォリアーズは、そのうち3度も優勝を飾った。

 このチームにおいて強固な基盤となっているのが、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという3本柱。一緒にプレーして8シーズン目となった3選手のうち、リーダー役を務めているのはカリーとグリーンだ。

「疑いもなく彼はスーパースター。でも(チームで)12番目の選手のように振る舞うんだ。フィルムセッションをしていても、彼は決して嫌がるような素振りを見せることはない。彼は本当にすばらしい男であり、良きチームメートなんだ。だから選手たちは彼のことをリスペクトする。それこそがキャプテンというものさ」
 
 カーHCが以前、『ESPN』へそう語ったように、カリーはその人間性を高く評価されており、ウォリアーズのケミストリー構築に不可欠な選手としても知られるナイスガイ。

 5月16日(日本時間17日、日付は以下同)に『NBC Sports』へ掲載された記事の中で、グリーンはカリーについて「俺たちのチームにおけるリーダーはステフ」と切り出し、こう続けている。

「彼は信じられないくらい無私無欲なんだ。もちろん彼はショットを放つ。でも彼が気にかけているのはいつだってチームメート皆のことなんだ。『俺が、俺が』となることは断じてないね。リーダーがそういうタイプだと、皆が行動をともにするものなんだ。チームだけでなく、その組織全体にも好影響を与えてくれるんだ」

 元NBA選手のデル(元シャーロット・ホーネッツほか)を父に持ち、自身への低評価を日々の努力によって覆してきたサラブレッドについて「彼は俺にとってこれまででベストな模範の1人なだけでなく、俺たち全員にとってもベストな1人。彼はまさに、一定の基準の中で生きている。それは皆がついていくのに最適なことなのさ」とグリーンは言う。