NBA

現地記者が激論!リーグ最高勝率を記録するバックスを倒す可能性があるチームは…【2020プレーオフ座談会:イースト/前編】

杉浦大介

2020.05.25

シェリダン氏はアデトクンボ率いるバックスについて「バックスには弱点らしいものがほとんど見当たらない」と高く評価した。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスのパンデミックがなければ、 本来であればNBAはプレーオフの佳境を迎えている時期だった。しかし3月11日以降、2019-20シーズンは中断されたままだ。中断から約2か月が経過した5月には一部地域の練習施設の閉鎖が解除。現在NBAは7月からのシーズン再開を目指しているが、プレーオフは本来の日程やフォーマットと違う形で行なわれる可能性が高い。

 時を遡ること3月11日、ニューヨークでNBAに精通した3人のライターによる『ダンクシュート』の人気企画「プレーオフ座談会」が開催されていた。収録も大詰めに差し掛かった頃、NBAからシーズン中断が発表され、記事はお蔵入りになった。

 しかし、今季の回顧と再開後を展望する意味で、ここで"幻の座談会"を一挙に公開したい。第1弾はイースタン・カンファレンス編だ。

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杉浦大介(以下杉浦):ここまでリーグ最高勝率を残しているバックスは、やはり今季のベストチームだと思う?

シュロモ・スプラング(以下スプラング):NBAのベストチームかどうかはわからないけど、間違いなくイースタン・カンファレンスのベストチームだとは思う。今季のバックスはとにかく選手層が厚く、大黒柱のヤニス・アデトクンボが休んだゲームですらも強い勝ち方をしているからね。
 
クリス・シェルダン(以下シェリダン):バックスには弱点らしいものがほとんど見当たらず、シーズンの得失点差が+11.2というのは驚異的だ。中でもクリス・ミドルトンはもっと高く評価されてしかるべきだ。あえて懸念材料を探すなら、アデトクンボのフリースローくらいかな。プレーオフに入ったら相手チームはペースをスローダウンさせ、アデトクンボはファウル責めに遭うだろう。若い頃のレブロン・ジェームズと同じように、重要な場面でフリースローを打つ機会は多いはずだ。今季、彼のフリースロー成功率は63.3%。プレッシャーのかかるプレーオフで確率を上げられるかどうかも見どころになる。 

スプラング:オープンコートでアデトクンボがボールを持つと、スペースが広がり、バックスは圧倒的な強さを見せる。プレーオフでは緊張感のあるスローペースの展開でも同じように力を出せるか、ハーフコートでも良いプレーができるかがポイントかな。

杉浦:バックスの対抗馬を選ぶとすればどこのチームだろう?

シェリダン:私はヒートを選ぶ。ヒートは3月2日にバックスに勝ち、今季の直接対決は2勝0敗とした。素晴らしいシステムが確立されたヒートに対して、バックスは相性が悪いように思える。エリック・スポールストラはNBAで最も過小評価されているヘッドコーチ(HC)だし、ジミー・バトラー、バム・アデバヨと軸がしっかりしている。ゴラン・ドラギッチはシックスマン賞の候補になっても良いプレーを見せており、2月にアンドレ・イグダーラを獲得したのも適切な補強だった。今季のヒートはアウェーゲームを苦手(14勝19敗)にしているが、それでもプレーオフでバックスを倒す可能性があるとすれば彼らだろう。
 
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