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「俺を助けてくれた」ヒートの強心臓ルーキー、タイラー・ヒロが憧憬する2人のシューターと自粛期間の恩恵

秋山裕之

2020.07.06

ヒロは2月に右足首を負傷したが、シーズン中断の影響でケガから完全復活。「(自粛期間が)俺を助けてくれた」と語った。(C)Getty Images

 昨年のドラフト1巡目13位でマイアミ・ヒートに入団したタイラー・ヒロは開幕からローテーション入りし、持ち前のシュート力を発揮していたものの、今年2月に右足首を痛めて15試合を欠場した。

 196㎝のガードはシーズン中断前の3月11日(日本時間12日、日付は以下同)に行なわれたシャーロット・ホーネッツ戦で復帰。約7分のプレータイムで2得点をあげたが、不完全燃焼で自粛期間を迎えた。

 しかし3か月以上に及ぶシーズン中断期間で、ヒロは足首が「100%」の状態まで戻ったという。20歳のガードは「(中断期間が)俺を助けてくれたのは間違いない。回復するのに十分な時間を手にしたからね」と『South Florida Sun Sentinel』のアイラ・ウィンダーマン記者へ語った。

 もちろん、強心臓ルーキーのヒロが自粛期間に足首の回復だけに努めていたわけではない。5日に同メディアへ掲載された記事の中で、ヒロは参考にしているNBA選手たちの映像を何度も観てきたと明かしている。

「同じ選手の映像ばかり観ていたよ。クレイ・トンプソン、レイ・アレン、CJ・マッカラム、スティーブ・ナッシュ、それにブラッドリー・ビール。彼らの中からそれぞれ異なる部分をかいつまんで観てきた」

 そのなかでもシューターのヒロにとって、トンプソンとアレンは別格の存在だという。
 
「クレイとレイは、キャッチ&シュートがものすごく上手い。彼らのプレーを観る時にはそこを重点的に観ていた。でも自分が観てきた選手もそうだし、コーチたちから言われて観た選手たちのプレーを通して、自分なりに何か新しいことやこれまでと違う部分を細かく分析して、自分のゲームに加えようとしてるんだ」

 イースタン・カンファレンス4位の41勝24敗(勝率63.1%)のヒートはすでにプレーオフ進出を決めており、今月末からフロリダ州オーランドでシーディングゲーム(順位決定戦)に臨む。

 今季のチームはジミー・バトラーとバム・アデバヨというオールスターデュオの周囲を、有能なシューターたちで囲む布陣が奏功し、ここまでオフェンシブ・レーティング(100回のポゼッションにおける得点)でリーグ7位の112.2を記録。

 ヒロやダンカン・ロビンソン、ケンドリック・ナンといった若手に加え、ベテランのゴラン・ドラギッチ、2月に加入したジェイ・クラウダーの5人が3ポイントを1試合で平均2本以上沈めるなど、チームの3ポイント成功率38.3%はリーグトップを誇っている。

 ここまでヒロは平均2.1本成功、成功率39.1%と上々の数字を残しているものの、3ポイントが生命線のチームにおいて、精度をさらに上げていくことが必須だと感じているのだろう。