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NBA

【NBAデュオ列伝】ウェバー&ウィリアムズ――弱小キングスを再生させたエキサイティングなコンビ|前編

出野哲也

2020.07.28

ウェバー(左)とウィリアムズ(右)は結成1年目から抜群のコンビネーションを披露。キングスを上位に押し上げる原動力となった。(C)Getty Images

ウェバー(左)とウィリアムズ(右)は結成1年目から抜群のコンビネーションを披露。キングスを上位に押し上げる原動力となった。(C)Getty Images

苦難続きのスタートだったウェバーのNBAキャリア

 NBA史上初のロックアウトがようやく解除された、1998-99シーズンのトレーニングキャンプ初日。サクラメント・キングスの練習場には肝心の男の姿がなかった。このオフ、ワシントン・ウィザーズからトレードで入団したクリス・ウェバーが、練習を欠席していたのだ。

「トレードは受け入れるが、契約が終了したらすぐに(他チームへ)出て行く」。チーム合流前、ウェバーはこう明言していた。何の魅力もない田舎町のサクラメント、NBAでも指折りの弱小球団キングス。心が躍るような材料は何ひとつなかった。

 不遇だったウェバーのNBA人生を一変させることになる運命の出会いも、始まりは希望の光すら見えていなかった。

 才能に関して言えば、ウェバーを上回る選手はそういない。208cmの長身でありながら、ガード並みのボールハンドリングとパスさばきを誇り、シュートレンジも広く、ゴール下でのパワープレーもこなせる。まさしく、それまでのパワーフォワードの常識を覆すような選手であった。

 ミシガン大時代には、ジュワン・ハワードやジェイレン・ローズらとともに、スターター全員が1年生というチームでNCAAトーナメント決勝まで進む快進撃を見せ、“ファブ・ファイブ(信じられない5人組)”と呼ばれた。翌年も2年連続で決勝まで勝ち進むもNCAA制覇にはあと一歩及ばす、そのシーズン終了後2年生でアーリーエントリーした。人気も実力も群を抜いていたウェバーは、当然ドラフト1位で指名される。直後にオーランド・マジックからゴールデンステイト・ウォリアーズへトレードされ、平均17.5点、9.1リバウンドで見事新人王を受賞した。
 
 これだけなら順風満帆のスタートを切ったように見えるが、事実はまったく逆だった。当時のウォリアーズHCだったドン・ネルソンと対立し、わずか1年でワシントン・ブレッツ(現ウィザーズ)へ放出されてしまったのだ。移籍後も個人スタッツは良かったが、故障欠場が多く、警官に対する暴行やマリファナ所持などコート外のトラブルも絶えなかった。それがウィザーズから見限られ、キングスへ放出される原因になった。

 気乗りしないままキャンプに参加したウェバーだったが、すぐにキングスが自分にあっているチームだということに気付いた。ウィザーズでは意志に反してセンターでプレーすることも多かったが、キングスは同じオフにセンターのブラデ・ディバッツを獲得していたので、本来のパワーフォワードに専念することができた。速いテンポでパスを多用するリック・アデルマンHCのオフェンスも、自らのプレースタイルに合致していた。

 このチーム、思ったほど悪くないぞ……そんなウェバーの思いを確信へと変えたのが、ボールボーイと見間違えるようなヒョロっとした新人ポイントガードの存在だった。
 

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