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コビー、ウェバー、ダントーニが語る“コート内外のナッシュの素顔”。稀代の名司令塔はなぜネッツのHCを引き受けたのか

北舘洋一郎

2020.09.14

クールに見えるナッシュだが、実際は相当に熱い男だったという。(C)Getty Images

9月3日、スティーブ・ナッシュがブルックリン・ネッツの新ヘッドコーチ(HC)に就任した。HC未経験で未知数のナッシュを登用したことに賛否両論あるようだが、本人はこのチャレンジを楽しみたいという。

「あれだけのバスケットボールIQを備えるスティーブだから、その役回りに不足はない。そして何よりも、HCは24時間365日チームのことを考えていなければならないほどタフな仕事だ。常に頭をフル回転させて試行錯誤を繰り返し、シーズンを乗り切る体力を持ち、リーダーシップを発揮しなければならない。スーパーマンのような任務だ」

 こう語るのは、ナッシュと同じ時代を戦ったクリス・ウェバー(元サクラメント・キングスほか)。そして、自分のような怠け癖のある人間にはHCは務まらないと冗談交じりに話した。

 ウェバーが言いたいのは、"HCの責務を全うするのと、選手として勝利のためにプレーするのは大きな違いがある"ということだ。ウェバーは自分の性格と比べて、ナッシュをこう分析する。
 
「僕は現役時代、試合までに自分のコンディションを精神的にも肉体的にも最高なところまで高めていくことに集中していた。その反面、試合が終われば一気に解放された気持ちになり、試合に勝とうが負けようが、一度すべてをリセットしたかったし、実際にそうしていた。試合がすべてで、それ以外の部分ではフルに自分の能力を出さなくてもいいかな、という気持ちが多々あったのは事実だ。だけど、スティーブのようなタイプは僕と同じようなスタンスで試合に望んでいなかっただろうし、ポイントガードというポジション柄、練習でも試合と同じ熱量で望んでいた。それがスティーブだ」

 またコビー・ブライアントは、短い間だがロサンゼルス・レイカーズでともにプレーした時のナッシュについてこう話していた。

「彼の長いキャリアで、試合中クールにプレーしているところを一度も見たことがない。ハードワーカーで熱い男だ。感情を剥き出しにした振る舞いこそしていないように見えるだろうけど、実際にプレーしてみればわかる。相当な激しさだよ」
 
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